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合同会社の資本金の決め方はある?適正金額と決め方のポイント

合同会社を設立するにあたり、資本金をいくらにすべきか悩んでいませんか。この記事では適正金額や決め方のポイントについて紹介します。さらに、設立登記に必要な費用や合同会社の出資方法、設立に関わる税金、出資額を増やす方法についても解説します。

合同会社の設立にあたって、多くの人が直面する課題として挙げられるのが資本金です。実際に、資本金の額を決めることは、設立前に行われる最も重要なステップの一つであり、その額が適正かどうかは会社の将来の運営に大きく影響します。

本記事では、合同会社の資本金の決め方について、適正な金額と決め方のポイントについて解説します。


合同会社の資本金の役割

合同会社は、2016年に制定された新しい会社法によって誕生した会社形態で、従来の有限会社と同様に、比較的小規模な企業や事業を営むことができます。その会社に勤務する社員の出資に基づいて資本が形成されます。また、「出資者=会社の経営者」となるため、出資したすべての社員に会社の決定権が与えられます。社員の責任は出資に限定され、個人資産まで責任を負うことはありません。

合同会社では出資額を自由に設定できるので、、株式会社に比べて設立費用を安く抑えられます。登記までのステップも少ないため、初めての方にも設立しやすい形態といえます。

資本金は、合同会社の出資者が支払うお金の総額のことで、会社の資金源となる重要な要素です。資本金は返済義務がなく、会社経営のためであれば自由に使うことができます。


合同会社の資本金を1円にするのは可能?

1円からでも可能

合同会社を含め、会社の設立に必要な資本金は最低「1円以上」と定められています。

以前は、会社法により株式会社や有限会社の最低資本金額が決められていましたが、会社法の改正により資本金の制限が廃止されました。そのため、1円からの資本金で設立することが可能です。

一方で、許認可が必要な事業においては資本金の金額が定められています。例えば、旅行業であれば300万〜3,000万円、建設業であれば500万〜2,000万円です。会社設立を検討している事業は許認可が必要になるものなのか、事前に確認しておきましょう。


資本金の使い道は?

合同会社の資本金は、事業を開始するための資金に加え、開業当初の運転資金として使用することができます。具体的には、開業当初のオフィス設立費や新規事業の資金調達などです。

基本的に使用用途は限定されていないため、企業の運営のためであれば自由に活用できます。また、出資金として得た資本金は、銀行からの借入金とは異なり返済義務がありません。

一方で、個人的な支払いに資本金を用いてしまった場合、代表者への貸付金扱いとなり、企業の信用度が低下する恐れがあるため注意が必要です。

個人事業主や少人数での設立の際は、個人資産を過度に資本金に充ててしまい、設立した企業の資本金をあとから個人利用してしまうケースも起こり得ます。そのようなことがないよう、余裕を持って事業計画を行いましょう。


設立する際に必要な費用

会社の設立には、資本金の準備に限らず設立の手続きにも費用が必要です。

次は、合同会社を設立する際に必要な費用について紹介します。


設立登記でかかる費用

設立登記とは、会社や団体などの法人格を設立する際におこなわれる手続きのことです。ここでは、設立登記に必要な費用について取り上げていきます。


必要な費用の項目は以下が挙げられます。

  • 定款印紙代

  • 登録免許税

  • 登記事項証明書代

  • 印鑑証明書代


定款印紙代は4万円ですが、電子認証の場合は発生しません。登録免許税は、60万円もしくは資本金額の0.7%のどちらか大きい金額が適用されます。

登記事項証明書代・印鑑証明書代は、それぞれ600円・450円です(2023年3月時点)。

また、設立登記の手続きを司法書士など専門家に依頼する場合には、行政書士・司法書士への報酬も上記に加えて発生します。


その他でかかる費用

その他に必要となるのは、人件費・事務所費・宣伝費・仕入費用などです。

合同会社を設立するには、一定の費用が必要です。設立登記にかかる費用や事業を運営するための費用など、慎重に計画を立てて必要な費用を把握しましょう。


合同会社資本金の適正金額

合同会社の資本金は、いくらが適正金額なのか一概に定めることはできず、会社の事業内容や規模、資金ニーズによって異なります。

基本的に、合同会社の資本金は1円以上であればいくらでも構いません。一方で、金額があまりに低すぎると企業の信用力が低くなる可能性があります。そのため、会社の事業内容や規模に合わせて適切な資本金を設定することが重要です。


適正金額を見極めるためには、以下の点を基準に検討してください。

  • 事業の性質と規模

  • 資金調達の必要性

  • 信頼度や信用力の向上

  • 法的要件


上記の点を踏まえて、事業運営に必要な金額を決めましょう。相場としては、合同会社は50万〜300万円未満の場合が多いです。

相場金額を目安に、運転資金3〜6ヶ月分程度の金額を用意することをおすすめします。


合同会社の資本金を決めるときのポイント

次は、実際に金額を決める際に、考慮したいポイントについてご紹介します。


業種によっては許認可が必要

合同会社も、株式会社や有限会社と同様に許認可が必要な事業があり、該当する場合は資本金額が決められています。

具体例を挙げると、一般建設業は500万円、第一種旅行業は3,000万円、一般労働者派遣業は2,000万円x事業所数などです。ご自身の設立企業の事業内容がどちらに当てはまるのか、事前に申請先に確認しておくことをおすすめします。


社員の負担の大きさから決める

合同会社の出資者である社員は、出資した範囲内の責任を負います。事業に必要な金額を算出したとして、社員それぞれが負担できる金額になってしまっては、個々人の責任が重くなってしまいます。

そのため、出資額は社員それぞれが負担できる範囲で決めることが重要です。


運転資金から考える

事業を開始して利益が出るまでには、時間がかかることがあります。そのため、利益が出るまでの期間の運転資金を資本金でまかなえる金額に調整することをおすすめします。一般的には、3ヶ月から半年程度が目安です。


個人の借入金は資本金にしない

資本金は将来の運転資金になり、企業の信頼性にも関わってくるとなると、なるべく金額を多くしたいと考える方もいるかと思います。しかし、個人が借り入れたお金は資本金に含めないように注意しましょう。

借入金は将来返済する必要があり、個人の資産ではありません。また、借入金を資本金に含めることは「見せ金」と呼ばれる違法行為にあたります。金融機関から融資を受ける場合に詐欺行為と見なされる可能性もあるため、資本金には自己資産を準備しましょう。


合同会社の2つの出資方法

次は、合同会社において資本金を出資する際の方法について解説していきます。出資方法は、現金出資と現物出資の2種類があります。


現金出資

現金出資とは、出資者が現金で資本金を出資する方法で、代表出資者の口座に現金で振り込みます。出資金額を通帳上に記載する必要があるため、代表の出資者も自分の口座へ出資金額の振込が必要です。

その後、他の会社設立に必要な書類とともに通帳のコピーを法務局に提出します。出資金は、会社設立後に作成する法人の銀行口座に送金され、運転資金として使用できます。


現物出資

現物出資とは、土地・建物などの不動産やオフィス関連のものなどの動産を会社の持ち物とすることで、不動産などの評価額を出資した金額として計算します。弁護士などの検査役を選出する必要がありますが、500万円以下の出資額の場合は必要ありません。

検査役の選任には、数十万円ほどの費用と出資金額の調査時間がかかります。そのため、なるべく500万円以下に抑えるか現金出資で出資金を集めるほうが、スムーズに登記手続きを進められるでしょう。


現物出資として認められるものは以下が挙げられます。

  • 不動産(土地・マンションなど)

  • 動産(自動車、パソコン、OA機器、備品、原材料、在庫商品など)

  • 有価証券(株券、国債など)

  • 債権(貸付金など)

  • 無形財産権(営業権、特許権、著作権など)

  • 仮想通貨

仮想通貨については、所得税が課税される可能性があるので、手続きに先んじて確認しておきましょう。


合同会社と税金の問題

合同会社を設立する際には、税金に関する問題にも注意が必要です。以下、関連する税金の種類について見ていきましょう。


登録免許税

合同会社の設立時には、登録免許税がかかります。登録免許税とは、法人や個人事業主が事業を開始する際に、その事業をおこなうために必要な許認可の申請に伴って支払う税金のことです。

登録免許税の金額は許認可の種類によって異なりますが、一般的には申請書類に基づいて算出されます。この金額は、合同会社では6万円もしくは0.7%となっています。株式会社の場合では、15万円もしくは0.7%となっているため、合同会社のほうが低額で設立することができます。

また、中小企業庁が運営している「認定特定創業支援等事業」の支援を受けることができれば、登録免許税を半額にすることができます。適用を受けたい方は、ぜひ詳細を確認することをおすすめします。


消費税

合同会社の運営に関わってくる消費税についてです。新規法人の場合は設立から最大2年間、すなわち1期目と2期目においては消費税課税が免除となります。

ただし、以下のケースの場合、納税義務の免除はなく課税事業者となります。

  • 事業開始の際の資本金額が1,000万円以上である場合

  • 資本金が1000万円未満でも、第1期の前半期(特定期間)の課税売上額が1,000万円以上の場合


法人住民税

法人住民税とは、地方自治体が法人から徴収する税金の一つで、法人税とは別に課税されます。法人が所在する地方自治体に納める税金で、均等割と法人税割の2つで構成されています。

均等割とは、従業員数や資本金額といった法人の規模に応じて徴収される税金のことで、赤字であっても払わなければなりません。一方、法人税割は、法人の課税所得に応じた税率であり、法人の課税所得が多いほど税率が高くなります。均等割とは別に、法人税額に応じて課せられる税金で、法人税とは別の税金です。

資本金の金額によって法人住民税の金額は変動し、1,000万円以上のラインをもって税率が上がります。


合同会社の資本金が少ないデメリット

資本金は1円以上あれば設立可能ですが、実際に少ない金額で会社を設立した場合、どのようなことが考えられるのでしょうか。

こちらでは、資本金が少ない場合のデメリットについてご紹介します。


信用を得にくい

資本金が少なすぎると、企業の信用力が低くなる可能性があります。特に、信用力が必要な場合では、資本金が少ないことが不利に働くことがあります。入札参加や契約交渉といった機会を見据えると、少ない金額がデメリットに働く可能性があるでしょう。


口座を開設できない可能性

法人が金融機関で口座開設する場合には、開設審査が必要です。資本金が少ない場合、実態がないのではないかと疑われる可能性があるため、審査に落ちて開設できないことがあります。円滑な審査のためにも、事業内容に適した金額を設定することをおすすめします。


資金繰りが悪化する可能性がある

資本金が少ない場合、銀行や投資家からの資金調達が制限される可能性があります。取引先が見つからない・融資してくれる金融機関が見つからないといった状況により、資金繰りが悪化して事業の運営にも影響が出ることが考えられます。


仕訳が面倒になる

事業をスタートすると必ず経費が発生しますが、少ない資本金で開始した場合、それらの経費を支払うことができなくなる可能性があります。

そうなると、創立費・開業費・経費といった項目の区別が難しくなり、仕訳が複雑になります。さらに、経費の払い忘れや支払い先の混乱が起こる可能性もあるため、資本金は必要最低限の額を確保しておくことが重要です。


合同会社の出資額を増やす方法

資本金はある程度多くの金額があったほうが、今後の運営をスムーズに進められると考えられます。

そこで、合同会社の出資額を増やすためにはどのような方法があるのでしょうか?

こちらでは、出資額の増額における具体的な方法と実際の手続きについてご紹介します。


既存の社員による増資

すでに企業に勤めている社員に増資してもらうのも一つの方法です。この場合、登録免許税3万円もしくは0.7%を必要な書類を揃えて登記します。


新たな社員の増資

新たな社員を迎えることで増資する方法もあります。この場合、出資はしても社員にならない選択肢を取ることも可能です。

こちらは、登録免許税3万円もしくは0.7%に加え、追加社員分として1万円分の登録免許税をプラスで支払うことになります。


手続方法と必要なもの

効力が発生する日より2週間以内に変更登記をおこないます。既存社員による増資・社員の増員による増資のいずれであっても、必要な手続きです。

変更登記の際は、定款・同意書・変更登記申請書・払込証明書・業務執行社員の過半数以上の一致があったことを証明できる書面などの書類が必要です。社員の増員による増資の場合は、加えて印鑑登録証明書が必要になる場合があります(追加社員が代表社員に就任する場合のみ)。

また、手続きにおいては登録免許税を支払う必要があります。増資の方法によって金額が異なるため、あらかじめ把握したうえで手続きを進めましょう。


まとめ

合同会社の資本金の決め方や金額の目安、金額設定の考え方についてご紹介してきました。

資本金は、会社の規模とともに会社の体力を測る指標といえます。法律上は1円の資本金でも設立登記が可能ですが、安すぎる資本金額は企業の運営を妨げかねないので注意が必要です。

そのため、300万円以下もしくは3〜6ヶ月の運転資金といった相場を踏まえて、ある程度の金額を準備することをおすすめします。合同会社を立ち上げる際は、ぜひ本記事を参考にしていただけますと幸いです。



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