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不動産登記費用はどのくらいかかる?費用の内訳と計算方法を解説

不動産を売買する際に必要な不動産登記の手続きには、どれくらいの費用が必要なのでしょう?登記の種類や目的、司法書士に依頼するかなどによって金額が異なります。本記事は不動産登記の概要や計算方法、費用相場に加え、費用を安く抑える方法を紹介します。

不動産を売買する際には、土地や建物の所有権や抵当権などの権利関係を公的に証明するために不動産登記が必要ですが、手続きにはさまざまな費用がかかります。

ただし登記の種類や不動産の目的によって費用額が異なるため、結局いくらかかるのか、算出方法にも疑問が多いかもしれません。そこで本記事では、不動産登記費用の内訳や計算方法について解説します。加えて不動産登記の流れや登記費用を抑えるコツも紹介するので、登記手続きに役立ててください。


不動産登記とは?種類と必要な理由

不動産登記とは、土地や建物など不動産物件の所有権や抵当権などの権利を、法的に明確にするための手続きのことです。簡単にいうと、入手した土地や建物が誰のものなのかをはっきりさせるためにおこないます。

そして、その手続きで記録される台帳は「登記簿」、電子化されたものは「登記記録」とも呼ばれています。


不動産登記の種類

不動産登記には複数の種類がありますが、主な登記は以下の6つです。

  • 所有権保存登記

  • 所有権移転登記

  • 抵当権設定登記

  • 変更・更正登記

  • 抹消登記

  • 相続登記


それぞれについて詳しく解説します。


所有権保存登記

所有権保存登記とは、所有権の登記がまだされていない不動産に対して、最初におこなわれる登記のことです。不動産物件が新築であったり、以前の所有者が登記をしていなかったりした場合におこなわれます。

最初の所有者が、1ヵ月以内にどのような建物かを公示することを表示登記といいます。その登記内の甲区欄で「所有者が誰か」を明示することが、所有権保存登記です。

所有権保存登記するかは所有者の任意ですが、建物購入の際に金融機関から借り入れをして土地・建物に抵当権を設定する場合は、所有権保存登記をおこなう必要があります。


所有権移転登記

所有権移転登記とは、不動産の所有権を移転する際におこなわれる登記です。

不動産物件の所有権が、前の所有者から移ったことを明確にするためにおこなうもので、不動産の売買や贈与、相続によって所有者が変わる場合に登記します。

もし所有権の移転において金銭のやりとりが発生しなかったとしても、第三者に不動産を譲る場合には、所有権移転登記を行わなければなりません。なお、中古物件の場合は土地と建物それぞれに必要です。


抵当権設定登記

抵当権設定登記(注1)とは、不動産物件を購入する際、ローンを借り入れたときにおこなう登記のことです。不抵当権が付与された物件であることを第三者に表示するための手続きでもあります。

住宅ローンを完済した際は、抹消登記をすることで対象の不動産を売買することが可能です。不動産所有者は、この抵当権設定登記をすることで、不動産を抵当にして返済の保証を結ぶことができます。

つまり、返済できなくなった場合に不動産物件を差し押さえて売却し、その代金を返済金に充てることが可能です。一方で、抵当権が設定された不動産は、抵当権が解除されるまで銀行によって差し押さえられる可能性があります。

なお、抵当権には順位があり、順位の早い人から優先的に返済がおこなわれます。

※注1)抵当権とは、ローンを借り入れる際に金融機関が発行する権利で、購入する住宅の土地と建物に設定されるもの。


変更・更正登記

変更・更正登記とは、登記簿上の所有者の住所や名字などが変わった場合におこなう登記のことです。この手続きをしないと、法務局からの知らせが届かなくなったり、本人確認ができなくなったりすることがあるので、何か変更があった場合は手続きするようにしましょう。


抹消登記

抹消登記とは、登記簿に記載されている情報を削除するための登記のことです。例えば、抵当権の完済や土地の取得者による抹消などが該当します。抹消登記をすることで、不動産の登記情報が削除されます。


相続登記

相続登記とは、不動産の相続手続きが完了した際におこなう登記です。相続人が所有する権利を証明するために必要となり、相続登記をすることで相続人が正式に所有者として登録されます。


不動産登記が必要な理由

不動産登記には法的な義務はありません。その一方で、第三者へ不動産物件が自分のものであると主張するためには登記が必要です。

また、不動産取引におけるスピードにも関わります。不動産登記は、不動産の場所や所有者などといった情報を記録する制度です。不動産に関する情報や権利を国が管理して、第三者が閲覧できるよう公開することにより情報の正確性を担保し、円滑に手続きを進めることができます。

なお、不動産情報については、手数料を支払えば誰でも閲覧でき、登記内容が記載された登記簿謄本(登記事項証明書)の交付を受けることも可能です。


不動産登記でかかる費用

不動産登記には複数の手続きが必要であり、それに伴ってさまざまな費用がかかります。ここからは、不動産登記をする場合にかかる費用について確認していきます。


登録免許税

登録免許税とは、不動産登記をする際に国に支払う税金のことです。税額は、固定資産税評価額によって異なります。抵当権の登記の場合は債権金額に税率をかけて計算します。税率は、土地や建物の所有権移転登記の場合は2.0%、所有権保存登記の場合は0.4%です。

金額は以下の数式で計算できます。

登録免許税額=不動産の固定資産税評価額×税率 


納付の際は、登記を受けるまでに現金もしくは収入印紙で納めます。現金支払いの場合は、金融機関にて支払い後に領収書を法務局に提出し、収入印紙で支払う場合は、金融機関や法務局内で印紙を購入します。

ただし、金額にかかわらず収入印紙で支払われることが多いです。

また、登録免許税の課税標準額は固定資産税評価額をもとに決定されますが、融資を受ける際の抵当権設定登記については融資金額に税率をかけます。


司法書士への報酬

不動産登記の手続きを司法書士へ依頼する場合は報酬が必要です。

不動産登記は、自身で対応することも可能です。しかし専門的な知識が必要なうえ、登記の種類や手続きは不動産の種類や状況によって異なるため、不慣れな場合はスムーズに進まない可能性があります。

なお、報酬金額は基準が決められていません。司法書士個々人の裁量や扱う物件の規模、案件の複雑性によって変動します。そのため、登記手続きを依頼する際は、複数の専門家に見積もりを依頼することがおすすめです。


不動産登記費用の計算方法

不動産登記は、実際にどれほどの金額がかかるのでしょうか。じつは手続き時に納める金額は、自身で登録免許税の計算式を用いて算出できます。ただし、登記の種類によって異なる部分があるので、その点のみ注意が必要です。


ここからは登記種類別での計算方法と、特定の場合におけるシミュレーションを紹介します。


移転登記の場合

不動産売買で所有権移転登記をする場合は、不動産の状況や取得背景によって税率が異なります。そのため、金額を計算する際は不動産についての詳細確認が必須です。


計算には以下の計算式を使用します。下記の数式に、状況に応じた税率を適用します。

登録免許税額=不動産の固定資産税評価額×税率 

適用する税率

  • 土地・建物の「売買」による所有権移転登記:2.0%

  • 土地・建物の「相続」による所有権移転登記:0.4%


抵当権設定登記の場合

抵当権を設定する場合は、下記の数式に則って計算します。

抵当権設定登記にかかる登録免許税額=住宅ローンの借入額✕0.4%


登記費用をシミュレーション

実際に、仮定の物件を対象に登記費用の金額をシミュレーションしてみましょう。

対象物件:土地が2,000万円、家の評価額が500万円
登記種別:所有権移転登記
税率:土地が1.5%、建物が0.3%


登録免許税の計算 [税額=課税評価額(課税標準)×税率]

上記の数式に、それぞれの税率を適用して算出すると、登記費用は土地が30万円(1.5%)、建物は10万円(0.3%)になります。


不動産登記費用の相場

不動産登記費用は計算式に当てはめて算出できますが、一般的な費用の相場はいくらなのでしょうか?

以下で不動産登記費用の相場を紹介します。


司法書士に依頼した場合

不動産登記をおこなう際、多くの場合は司法書士に依頼します。日本司法書士連合会でのアンケートをもとにした相場金額は以下のとおりです。

  • 贈与での所有権移転登記:41,000~54,000円

  • 売買による所有権移転登記:42,000~64,000円

  • 相続による所有権移転登記:60,000~78,000円

  • 所有権保存登記:22,000~31,000円

  • 抵当権設定登記:35,000~46,000円

  • 抵当権抹消登記:13,000~18,000円

  • 変更登記:10,000~13,000円

司法書士によって費用が異なるため、あらかじめ見積もりを依頼して比較検討するのがおすすめです。


土地家屋調査士に依頼した場合

土地家屋調査士とは、土地や家屋に関する調査や測量をおこなう専門家を指します。一般的に建物の表題登記が終わっていない場合に、土地家屋調査士に依頼することが多いです。

土地家屋調査士に登記を依頼した場合、登記事務の審査や確認作業、登記簿謄本の取得などを含め、一般的には司法書士よりも安価になることが多く、相場は7万~12万円です。


不動産登記の流れ

不動産登記をする際は、さまざまな対応をおこなう必要があります。全体的な流れは以下のとおりです。

  1. 登記に必要な書類を作成する

  2. 管轄の登記所の申請窓口に書類を提出し審査を依頼する

  3. 登記簿に記載する

  4. 権利証の発行


登記に必要な書類を作成する

不動産登記には、登記申請書や譲渡証明書、課税証明書などの書類が必要です。まずは各種の書類を用意しましょう。


管轄の登記所へ審査依頼

用意した書類を管轄の登記所の申請窓口に提出し、審査を依頼します。登記所で審査をおこない、問題がなければ登記が受理されます。問題があった場合は修正を依頼されることがあります。


登記簿に記載する

登記が受理されたら、不動産の所有者や抵当権者、その他の権利関係者などを登記簿に記載します。登記簿には不動産の所在地や所有者名、登記日などが記載されます。


権利証の発行

登記簿に記載された権利関係者に対して、権利証が発行されます。この権利証は、不動産の所有者であることを証明するためのもので、登記簿の内容に基づいて発行されます。


登記費用を抑えるコツ

登記費用は不動産の種類や価格、税率によって異なるため、多額の出費となる場合があります。とはいえ、なるべくかかる費用の負担を軽くしたいはずです。


次に登記費用を安く抑えるための方法をご紹介します。


軽減税率の適用

軽減税率は自動的に適用されるわけではなく、不動産の目的や床面積など条件を満たしていることを示す証明書と、登記申請書を提出しなければなりません。条件を満たすことで軽減措置の対象となります。

ただし、軽減税率の利用条件や対象期間は毎年変更されます。そのため、実際に申請する際に対象物件が適応される条件があるのか、確認するのがおすすめです。


自分でできることをする

司法書士に依頼することで、漏れなくスムーズに手続きを進められます。ただし、この場合は司法書士への依頼報酬が生じます。そのため、登記手続きを自分でおこなうことも、費用の節約方法として挙げられるでしょう。

ただし個人には難易度が高く、ミスがあれば最初からやり直さなければならないことも考えられます。最初から専門家に依頼するよりも、何倍もの労力と時間がかかってしまうことも珍しくありません。難しいと感じた場合は、無理をせずに専門家の手を借りることもおすすめです。


相見積もりを取る

登記費用のうち、登録免許税は数式で金額が定められているため削減することはできません。一方で、司法書士の依頼費は節約できる可能性があります。

複数の司法書士に見積もりを依頼して比較することで、報酬が安い司法書士を見定めることができます。ただし、安さだけで選んでしまうと、実力不足の司法書士にあたり、手続きに不備が出る懸念があるため、価格だけを重視するのは危険です。相見積もりを取る場合は、金額だけではなく信頼性や実績も考慮するようにしてください。


不動産登記に関するQ&A

最後に、不動産登記に関するよくある質問についてわかりやすく回答していきます。


手続きにどのくらい日数はかかる?

不動産登記の手続きにかかる日数は、申請内容や手続きの進め方によって異なるため、一概に定めることはできません。ただし、一般的に1週間~10日で完了することが多いです。登記申請をおこなった後、法務局による審査や調査、登記簿謄本の発行、それらの手続きに要する時間で変動します。

手続き内容によっては、手続きが完了するまでに最大2ヵ月以上かかることもあります。そのため、余裕を持ってスケジュールを立て、早めに手続きを進めることが重要です。


不動産登記には何が必要?

不動産登記の際に必要なものは以下のとおりです。

  • 登記申請書

  • 固定資産税の通知書・明細書

  • 権利証

  • 本人確認書類

  • 認印

上記に加えて、手続きを依頼する登記所に支払う登記手数料も準備してください。なお、登記申請書は、各都道府県の登記所のウェブサイトよりダウンロードできます。


いつまでに登記すればよい?

基本的に登記はあくまでも任意であり、一部の登記種別を除いて、申請は義務付けられていません。例えば、相続登記において「故人の逝去○ヶ月以内に手続きをしなければならない」といった期限もありません。

ただし、登記をしていなかったことにより、余分な手続きが増えてしまう可能性があります。後のトラブルを防ぐためにも、早めに登記することが望ましいといえるでしょう。


登記費用は経費になる?

経費になるかどうかは、登記の種類や状況に応じて異なります

例えば、不動産投資のために不動産を購入した場合は、購入時の登録免許税は経費として計上することが可能です。不動産賃貸業を引き継いだ場合も、引き継いだ不動産の登記費用は経費として計上できます。

その一方で、住宅ローンを返済して抵当権抹消登記をおこなった場合は、かかった費用は経費にはなりません。

登記の種類や目的によって経費にできるかどうかは異なるので、その都度判断するようにしましょう。


見積もりで出してもらった登記費用は適正価格なのか?

見積もりで出してもらった登記費用が適正価格かどうかは、その見積もりを出した業者の信頼性や基準に左右されます。

ただし、登録免許税は決まった税率で算出できるため、シミュレーターや司法書士協会でのアンケート結果と比較することで、適正価格であるかを判断することが可能です。


まとめ

不動産を取り扱う際には不動産登記についても適切に理解し、正確な手続きをおこなうことが重要です。また、登記費用の負担を軽くしたいなら、使える軽減税率がないか確認し、司法書士の相見積もりを取るなどして、費用を安くする策を講じていきましょう。

手続きを進める前に十分な情報収集をおこない、必要な場合は専門家の手を借りて不動産登記を進めましょう。



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