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働き方改革の事例を目的別に紹介!実現のポイントと便利ツールも

働き方改革には、業務課題によってさまざまなアプローチがあります。効果を得るためには正しいアプローチの選択が必要です。本記事では働き方改革の具体的な事例を目的別に紹介します。施策や効果を理解することで、自社に適した改革を検討できるでしょう。

働き方改革の検討を始めたものの、何から始めるべきかわからない人も多いのではないでしょうか?

働き方改革には、業務課題によってさまざまなアプローチがあります。期待するような効果を得るために、正しいアプローチを選択することが必要です。

そこで、この記事では働き方改革の具体的な事例を目的別に紹介します。どのような施策を行なって、どのような効果があったのかを理解することで、自社に適した改革を検討することができるでしょう。


長時間労働の働き方改革の事例5選

まず、長時間労働や時間外労働を減らすための働き方改革事例を5つご紹介します。従業員の労働時間改善を考えているなら、ぜひ参考にしてください。


大成建設の意識・慣習改革

大手建設会社の大成建設株式会社では、従業員の働き方に関する意識や慣習を改革することに注力しました。長時間労働の是正と休暇取得促進のため、具体的に次のような取り組みを行なっています。

  • 社長自らが社員に継続的に目標を伝える

  • 数値目標を設定し、具体的な施策を示す

  • 社員組合と会社の協議機関「時短委員会」を定期開催

  • ICTやロボット化で生産性を高める

  • 在宅勤務・テレワークの実施

このような取り組みの結果、月100時間以上残業した社員が半減し、勤労への意識改革につながりました。また、多様な働き方を受け入れることで、仕事と育児・介護といったプライベートとの両立支援にも役立っています。


大和ハウス工業の長時間労働で賞与減額

建設業者大手である大和ハウスグループの大和ハウス工業株式会社でも、長時間労働が横行していました。そこで、長時間労働を行なった事業所の賞与を減額とする策で是正を行なっています。ほかにも次のような長時間労働・休暇取得促進策を実施しました。

  • 長時間労働事業所を賞与減額とする「ブラック事業所認定制度」

  • 有給取得促進制度「ホームホリデー制度」

  • 21時に事業所を閉鎖する「ロックアウト制度」

  • 申請なしでは終業時刻以降にパソコンが使えなくなる「PCロックアウトシステム」の導入

  • 現場社員の意見を積極的に取り入れる

上記のように、従業員のモチベーションアップを長時間労働対策として、役立てていることがわかります。


ベネッセコーポレーションのノー残業デー

教育・学習支援事業で知名度の高い株式会社ベネッセコーポレーションでは、残業時間削減を推進するためにノー残業デーを設定しました。2015年までは「残業ゼロ」を目標に掲げていましたが、現在はより現実的な目標として月平均残業時間の削減目標を設定し、達成に努めています。

ベネッセコーポレーションの主な長時間労働対策は次の5つです。

  • 事業部門ごとにノー残業デーを設定

  • 事業部門ごとに月平均残業時間の目標を設定

  • 育児休暇や時短勤務などワーキングマザーを積極的に支援

  • 事業部門ごとに有給休暇取得奨励日を設定し推進

  • 在宅勤務の制度化

このように、事業部門によって業務量や繁忙期が異なることに目をつけ、部門ごとのルール付けを徹底している点が特徴的です。


岩田屋三越のシフト固定化

三越や伊勢丹といった百貨店を運営する株式会社岩田屋三越では、シフト制で働く従業員たちの働きやすさを重視した取り組みを行いました。

  • 早出・遅出する従業員やシフトを固定化し、時間どおりの退勤を徹底

  • 前日の終業時間から翌日の始業時間まで、11時間のインターバル休息を確保

  • 月1回以上の有給休暇取得、年4回の連続休暇と有給休暇の併用を推進

  • 個人のパソコンの使用時間を定める適正化システムの導入

  • 育児休暇・再雇用制度を導入し、従業員の意識改革に努める

百貨店に勤務する以上は、シフト制での勤務を避けることはできません。「早出の人が帰れない」「翌朝早いのに深夜まで勤務している」といった事態を避け、働きやすさの改善を目指しています。


弘新機工の人材育成による残業時間削減

新潟県の自動車整備会社、株式会社弘新機工では、人材育成を徹底することで残業時間を削減しました。従業員を育てて作業効率を上げることで、月100時間に及んでいた残業時間を、月平均17時間まで削減することに成功しています。

具体的な取り組みは次の通りです。

  • 鉄工・油圧修理・塗装など、すべての業務に対応できる多能工の育成

  • 月の見込み残業時間を設定し、月次決算が黒字であれば、見込み時間分の残業代が支払われる制度の導入

結果、仕事の属人化が解消され、働き方や休み方を社員自ら考えるようになりました。


快適な職場環境への改革の事例5選

続いて、働きやすい職場環境づくりを重きに置いた働き方改革の事例を紹介します。従業員のモチベーションアップや定着率の向上を考えている人は、ぜひ参考にしてください。


ソフトバンクのスーパーフレックスタイム導入

通信ネットワーク業界大手のソフトバンク株式会社では、働き方改革の一部としてスーパーフレックスタイム制を導入しました。

フレックスタイム制とは、1日の中で勤務しなければならない時間帯(コアタイム)を設けることで、出社や退社の時間を従業員が自由に決めることができる制度です。ソフトバンクのスーパーフレックスタイムでは、業務状況や内容に合わせて、コアタイムの設定も日単位で変更できるため、さらに自由な働き方を選択できます。

社員一人ひとりの業務状況を把握する必要がありますが、子育てやプライベートの両立に適している制度といえるでしょう。


ワコールの短時間勤務制度

肌着やインナー、化粧品を取り扱う株式会社ワコールは、男性700名に対して女性3,507名(2015年7月時点)が在籍する企業です。育児や介護を理由とする短時間勤務制度は、多くの社員の支持を集めています。

1日の労働時間7時間30分を育児の場合は30分単位、介護の場合は1時間単位で最大2時間短縮できます。また介護の場合は、介護休業や介護フレックスタイムも導入が可能です。

この制度の導入は、多かった出産・育児、介護に伴う離職者の減少につながっています。

“参考:厚生労働省「パート・有期労働ポータルサイト『株式会社ワコール』」”


NECネッツエスアイのテレワーク導入

IT・ネットワーク企業のNECネッツエスアイ株式会社では、テレワークを導入し、従業員が在宅勤務しやすい環境づくりに努めました。

NECネッツエスアイの得意分野であるICTを活かしたテレワークで、業務の効率化にも成功しています。在宅勤務の勤怠情報を管理できる自社ツール「TeleworkWatch」の開発はその一例です。コミュニケーションツールと併用することで、従業員同士のチームワークを崩すことなくテレワークの普及に成功しています。

また、テレワークをさらに促進するために、ノーペーパーワークの推進やフリーアドレスの導入など、オフィス改革にも挑戦しました。


トヨタ紡織の育児休暇・休業の制度

自動車メーカー、トヨタグループのトヨタ紡織株式会社では、女性が活躍する起業を目指してさまざまな取り組みを行なっています。特に育児・介護休暇は充実しており、多くの社員が利用しています。

育児休暇に関しては子が3歳になるまで取得できるため、他社よりも長く子どもの成長を見守ることができるでしょう。育児短時間勤務制度も部門によって8歳まで取得でき、希望に合わせて働き方を選択できます。

また、配偶者の転勤といった理由で退職した場合には再雇用制度が利用できたり、女性管理職を5倍にする目標を設定したりするなど、女性社員のキャリア形成にも積極的です。


メルカリの男性育休

フリマアプリの運営で知られる株式会社メルカリでは、期間内の産休や育休中の給与を100%保障する「merci box」の制度を導入しました。一般的な産休・育休制度では給与の50〜70%程度の支給に留まるため、経済的な事情で取得を断念するケースも多いです。

メルカリの育休制度の最大の特徴は、男性の産後8週の給与に関しても100%保障される点です。男性社員に対しても育児の機会を与えることで、プライベートの充実とモチベーションの向上につながっています。

また「merci box」では、病気やけがへの支援やライフイベントへのサポートなど、さまざまな角度から支援を行なっています。よって、子どもを持たない社員も平等に還元を受けることが可能です。


働き方改革の失敗事例3選

働き方改革の具体例として、失敗事例も把握しておきましょう。失敗した事例を知ることで、似たような事態を避けることにつながります。


意識しないと状況の悪化

むやみな働き方改革は、状況の悪化を招く恐れがあります。例えば、残業時間を減らすことに注力しすぎても、時間内に業務が終わらず、休日出勤をせざるを得なくなっては意味がありません。

また、残業代で多くの給与を得ることをモチベーションとしている社員にとっては、残業時間を減らされることはリスクが大きいです。このような社員のために基本給のアップを行なったものの、残業が減らずに人件費も増えてしまう失敗例が多くあります。

このように、改革結果の予測をしっかりと行わなければ、業績の悪化にもつながりかねません。


形だけの改革で社員にしわ寄せ

業務課題をよく分析せずに、形だけの改革を行うことで社員にしわ寄せがいき、かえって働きづらさを感じさせてしまうケースもあります。

例えば、対策を施さずに残業時間短縮を義務づけると、従業員のモチベーションに影響します。残業時間の短縮には、社員教育や業務効率化に役立つツールの導入など、会社としての取り組みが必要です。そういった取り組みを行わずに是正を求めることで、従業員の不信感を招く可能性があります。

また業務量が変わらなければ、定時退社や有給休暇を取得した分、次の日の仕事量が増えてしまいます。こうした無理な対策で、持ち帰り残業やサービス残業が増える恐れもあるでしょう。


企業文化が働き方改革の弊害

それまでの企業文化や慣習が、働き方改革の弊害としてのしかかる場合もあります。

よくある例としては、テレワークを推進しているにもかかわらず紙の書類や印鑑が必要で、事あるごとに出社しなければならないケースが挙げられます。ペーパーレス化や電子印鑑の導入は従業員の努力ではどうにもならず、会社として取り組まなければならない課題です。

また、慣例として行なっている業務に無駄がある場合も少なくありません。毎日の会議や全員参加の行事など、目的や意義を再確認して整理し直すことも必要でしょう。


働き方改革を実現させるポイント

成功事例や失敗事例を踏まえて、働き方改革を成功させるポイントを解説します。

  • 現状把握と具体的な目的設定

  • 改革すべきことの優先順位を検討

  • 導入した働き方改革の検証

以上の3つのポイントを意識して、働き方改革を実施しましょう。


現状把握と具体的な目的設定

適切な働き方改革を始めるためには、現状把握と具体的な目的が必要です。特に現状把握は重要です。企業の課題は何か、どういった問題を抱えているのかがわからなければ、具体的な目的が定まらず、適切な改革を進めることはできないでしょう。

例えば、長時間労働が課題だとすると、なぜ従業員が長時間労働するのかを見極める必要があります。人員不足や業務効率、業務量など、企業や部門によって原因はさまざまです。原因に合わせた解決策を考えましょう。

解決策を決めたら具体的に目標を設定します。「月平均残業時間〇時間」など、数字などで明確にしておくとイメージが共有しやすいです。


改革すべきことの優先順位を検討

企業課題が複数ある場合は、いっぺんに改革を進めるのではなく、優先順位の高い順に解決していくことをおすすめします。課題や問題をすべて解決したいのはもちろんですが、複数の改革を同時に進めると、収益に影響がでる可能性があります。

課題の内もっとも大きい問題や、早急に解決すべきものから優先順位を決めて、順番に解決していくほうが効率的でしょう。働き方改革関連法で義務化されるものから改革したり、部署や部門ごとに改革を進めたりすることも手段のひとつです。

このようにして定めた働き方改革の進め方や目標の概要を、あらかじめ社内に共有しておくのもよいでしょう。


導入した働き方改革の検証

大切なのは、単に改革を実施しただけで終わらず、改革の過程や結果について分析を行うことです。働き方改革を進めていくと、思いがけないトラブルや弊害が発生することもあります。見つかった問題点について検証し、新たな改革を組みなおして再実施することで、改革はさらに進んでいきます。

ただし実施や検証を会社全体で行うと、問題点やトラブルも大きくなり解決が難しくなりがちです。従業員の混乱を防ぐためにも、1部門で試して徐々に会社全体に広げていくことをおすすめします。

これを繰り返すことで、従業員の意識改革やモチベーション向上にもつながるでしょう。


働き方改革に役立つサポート・サービス

最後に、働き方改革に活用したいサポートやサービスを紹介します。必要に応じて利用し、改革を効率的に進めましょう。


働き方改革推進支援センターの利用

働き方改革を検討している中小企業・小規模事業者のために、働き方改革推進支援センターが47都道府県に設置されています。各センターでは、社会保険労務士といった専門家に、労務管理に関する相談を無料で行うことができます。具体的には以下のようなサービスです。

  • 就業規則の作成方法の相談(窓口、電話、メール)

  • 賃金規定の見直し・労働関係助成金の相談(窓口、電話、メール)

  • 企業へ直接訪問し、課題へ対応

  • 働き方改革セミナーの開催

中小、小規模事業者向けのサービスですが、支援対象はすべての事業主となっており制限はありません。ぜひ利用してみましょう。


目的に合ったITツールの導入

現状や課題把握、テレワークの推進のために、ITツールの導入が役立つことも多いです。業務効率化や社員管理に役立つITツールは多く提供されているため、企業に適したものを選ぶことが大切です。

なかには無料で利用できるツールもあります。

有料プランに登録することで、すべての機能が制限なく使えるツールが多いです。無料プランで試してみて、使えるようなら有料に切り替えるのもよいでしょう。


フレキシブルオフィスでコスパ改善

テレワークなど働き方が多様になるなかで、フレキシブルオフィスを利用する企業も増えています。

フレキシブルオフィスとは、シェアオフィスやコワーキングスペース、レンタルオフィスといった事業所の総称です。1日や1ヶ月など小さい単位でオフィスを借り、使いたいときにだけ使うことができるため、家賃のコストカットにつながります。

フレキシブルオフィスは通信環境やデスクといった環境が整っており、1人から利用できるためさまざまな場面で利用できます。ただし、他の企業との共有スペースが設けられることも多いので、セキュリティ面には注意が必要です。


まとめ

働き方改革の成功事例から失敗事例まで詳しく紹介しました。同じ課題を持っていても、企業によって効果的な施策は異なります。働き方改革を成功させるためには、自社の課題を見つめなおし、具体的なゴールラインを設定することが大切です。

企業の問題点が複数ある場合など、何から始めるべきか迷っている事業主も多いでしょう。本記事で紹介した改革事例を参考にして、自社の働き方改革を検討してみてください


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