テレワークを導入して成功させるためには、さまざまな会社の事例を把握しておきましょう。この記事では、テレワークの成功事例を20例紹介します。また、テレワークの基本情報も解説するので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
自社にテレワークの導入を検討していませんか?テレワークは、コスト削減や営業の効率性アップ、企業のブランドイメージ向上などのメリットがあり、多くの会社で導入されています。
ただし、初めてテレワークを導入する場合、失敗するリスクをできるだけ避けたいと考える方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、テレワークの成功事例を20例紹介します。ほかにも、テレワークの導入前におさえておきたい情報も取り上げます。本記事を参考にして、テレワークの導入を成功させましょう。
テレワークとは、ICTの技術を活用した時間や場所にとらわれない働き方のことです。
「テレ(tele)=離れた場所」と「ワーク(work)=働く」を組み合わせたのがテレワークで、働き改革や新型コロナウイルス感染症によって注目を集めています。
またテレワークは、働く場所によって以下のように分類できます。
テレワークの区分 | 内容 |
在宅勤務 | 自宅で仕事をする働き方 |
モバイル勤務 | カフェやホテルを就業場所にしたり、移動中などに仕事をしたりする働き方 |
サテライト・コワーキング | サテライトオフィスやコワーキングスペースで仕事をする |
ワーケーション | バケーションも楽しめる場所でテレワークをおこなう |
テレワークを導入する際は、自社や従業員にとってどのような働き方がよいのか、働く場所はどこがよいのかなどを検討することが大切です。
テレワークを導入して成功している企業は少なくありません。ここでは20社の成功事例を紹介するので、テレワークで失敗したくない方はぜひ参考にしてください。
アフラック生命保険株式会社
シェイプウィン株式会社
株式会社スタッフサービス・クラウドワーク
株式会社プロアス
LAPRAS株式会社
株式会社MammyPro
株式会社コーポレートインパクト
株式会社村岡組
サンダーバード株式会社
株式会社ラ・クーラ
株式会社トアイリンクス
株式会社北陸人材ネット
株式会社NOKIOO
株式会社三協パーツ商会
有限会社Willさんいん
株式会社ありがとうファーム
株式会社テリムクリ
株式会社マルク
税理士法人ネクスト・プラス
株式会社システムフォレスト
アフラック生命保険は、テレワーク導入によって労働時間を減らし、有給休暇取得率を上げています。
2021年の法定外労働時間は4.5時間まで削減しており、2016年と比較すると72.4%も減りました。また平均の有給休暇取得日数は、2015年では13日でしたが2021年には17日になり4日増えています。
テレワークの取り組みは、在宅勤務をおこなうため従業員に端末を配布したり、全国9か所にサテライトオフィスを設置したりしたほか、モバイルツールを貸与するなど環境の整備をおこなっています。
参照:厚生労働省|令和4年度テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰
情報通信業をおこなっているシェイプウィンは、テレワークなどの柔軟な働き方を取り入れ、求人応募数や売上を上げることに成功しました。
以下は、テレワークなどを導入する前の2019年と導入したあとの2021年の比較です。
求人応募数:約4倍
スタッフ:約4.3倍
売上高:約2.6倍
テレワークを導入するだけではなく、全社員を対象にフレックスタイム制やワーケーションなどを利用可としています。
参照:厚生労働省|令和4年度テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰
参照:シェイプウィン|シェイプウィン テレワークに関する賞をW受賞 厚生労働省「輝くテレワーク賞」特別奨励賞 受賞 総務省「テレワーク先駆者100選」選定
サービス業のスタッフサービス・クラウドワークはテレワークを導入し、事務処理などを在宅勤務で対応している会社です。
テレワーク導入の成果は、重度身体障がい者の雇用を2016〜2022年の間で400人も増加させたことです。また、400人のうち85.8%が「ワークライフバランスがとれている」と満足しています。
テレワークの取り組みでは、パソコンやモバイル通信カードの貸し出しだけでなく、在宅勤務手当も支給しています。
参照:厚生労働省|令和4年度テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰
プロアスは、終日在宅勤務や部分在宅勤務、ワーケーションを取り入れた会社です。
テレワーク導入の成果として社員の満足度が上昇したことが、勤務地や働き方を理由にして退職した人が0だったことから見て取れます。(※2021年度)
在宅勤務では、ノートパソコンやポケットWi-Fiを貸し出したほか、事業場外みなし労働時間制や裁量労働制など自由に働ける制度も整えています。
参照:厚生労働省|令和4年度テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰
LAPRASは、在宅勤務やサテライトオフィス、ワーケーションを取り入れた会社です。
所在地は都内ですが、テレワーク導入によって地方在住者を11名採用しています。さらに、「パフォーマンスが出せているか」という社内アンケートの設問に対し、90%の人が「しっかり出せている」と回答しています。
テレワーク導入で整備したのは、フルフレックス制度や休憩時間外も休めるRAS制度などです。
参照:厚生労働省|令和4年度テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰
北海道に拠点を構える株式会社MammyProでは、創業したときから在宅勤務を導入しています。
テレワークによって女性の雇用が安定し、過去5年間の離職率を10%に抑えることに成功しました。
テレワークで働く従業員は、在宅勤務と通常勤務+テレワークの2パターンがあり、育児をしながら働いている人も少なくありません。
参照:総務省|株式会社MammyPro
岩手県にあるコーポレートインパクトは、全国で在宅ワーカーを確保している会社です。
高い技術力によって、紙や名刺などのアナログコンテンツを電子化するのが主な事業内容です。
在宅ワーカーのスキルや家庭の事情を考慮し、パソコンでできる仕事を割り振っています。
秋田県で土木や住宅建築をしている村岡組では、在宅勤務を導入しています。パソコンやスマートフォンが支給され、親の介護を続けながら仕事することが可能です。
村岡組は、ビジネスチャットの「LINE WORKS」を活用していることも特徴です。グループトークで施工現場の情報を整理し、素早く連絡できる体制を整えています。
サンダーバードは、創業時からテレワークを取り入れている群馬県の会社です。社員全員が在宅勤務やモバイルワークをしています。
テレワークに魅力を感じる人が多く、雇用率が前年度比で150%に上がった年もあります。交通費がなくなるため、年間数十万円の経費削減にも成功しました。
テレワークでよくある問題点の長時間労働を抑制するために、チャットツールで勤怠を管理しています。
参照:総務省|サンダーバード株式会社
居宅介護支援事業をしているラ・クーラは、モバイルワークや在宅勤務を導入しています。
テレワーク導入により、一時は引退を検討していた人が入社を希望し、在宅勤務で働いています。また、時間外勤務や休日出勤も減少しました。
婚活情報サービス業やレンタルオフィス業を営んでいるトアイリンクスは、全社員にパソコンを配布し、テレワークできる体制を整えています。
支給しているノートパソコンは、2分程度経つとスリープ状態にかわるため、万が一盗まれるようなことがあっても情報漏洩するリスクが少ないです。
テレワーク導入の成果は、人材の定着やオフィススペースの縮小による経費削減、交通費の削減などが挙げられます。
参照:総務省|株式会社トアイリンクス
北陸人材ネットは、石川県で有料職業紹介や人材コンサルティングをしている会社です。
テレワークを導入した結果、働きやすい環境が整備され、優秀な人材の維持が可能になりました。
フルフレックスやフルリモートなどの制度もあるため、家族が体調不良を起こしたり大雪が降ったりしても自宅にいながら仕事を進められます。
参照:総務省|株式会社北陸人材ネット
NOKIOOは、子育て女性支援・プラットフォーム事業やWeb広告運用などを手掛けている静岡の会社です。
テレワークを導入したことにより、浜松市にある本社への通勤が困難な人でも採用が可能になり、妊娠や育休による離職を解消できました。
オンライン上で週1回の全体ミーティングやグループウェアによるスケジュール管理などを実施しているため、テレワークを実現できています。
参照:創業から続けるテレワーク、大切にしているものは社員の自主性 | DWSC
兵庫県にある三協パーツ商会は、ICTツールやクラウドシステムのタイムカードなどを導入し、テレワークができる会社です。
リモートワーク導入による実績として出社・育児を理由にした離職者が0人、優秀な人材の確保などが挙げられます。
また、取り組みがメディアに取り上げられたため、社員のモチベーションアップにつながっています。
参照:総務省|株式会社三協パーツ商会
有限会社Willさんいんは、テレワーク推進拠点や在宅勤務制度を設けている島根県の会社です。
テレワークによって、大雪で交通機関が麻痺しても業務に支障がなく、社員は時間を有効に活用できるようになりました。
女性も働きやすい環境になり、第二回しまね女性の活躍応援企業知事表彰を受賞しています。
参照:総務省|有限会社Willさんいん
ありがとうファームは、岡山県で障がい者の就労継続支援をしている会社です。業務のイラスト制作や編み物制作は、テレワークでおこなっています。
テレワークを導入してから、欠勤の減少や遠方の優秀な人材確保に成功しています。
スカイプの画像添付によって業務の進捗状況を管理しており、スケジュール管理や品質管理も実現しました。
参照:総務省|株式会社ありがとうファーム
香川県にあるテリムクリは、創業時から完全テレワークでコロナ禍でも滞りなく業務を進められた会社です。
従業員は自由に働けるので、育児の時間を増やしたりスキルアップに時間を使ったりしています。
レンタルオフィスやコワーキングスペースも活用しているため、対面の打ち合わせも対応可能です。
参照:株式会社テリムクリ|新型コロナウイルス感染症対策について
愛媛県にあるマルクは、精神障がいや発達障がいの人が働けるように、テレワークを導入した企業です。
テレワークによって業務の質が向上し納期に余裕が生まれ、売上の上昇にもつながっています。また、障がい者の雇用創出もテレワークによる効果です。
週1回は勤務するものの、基本的には在宅勤務のため、障がいがあっても無理なく働ける体制を整えています。
ネクスト・プラスは、長崎県にある税理士法人です。ITツールの支給やデータのクラウド化によってテレワークを実現しています。
テレワークの効果は、時間外労働の減少や休暇取得の増加です。また、すぐにデータを見せられるため顧客とスムーズにやりとりでき、生産性も向上しています。
熊本県にあるシステムフォレストは、すべての業務環境をクラウド化し、テレワークを導入した会社です。
テレワークによって、家庭の事情がある社員も正社員を継続しています。また、外出先でも仕事ができるため、帰社後の作業が減少しています。
テレワークを導入するためには、メリット・デメリットを把握して、導入の流れもおさえておきましょう。ここでは、テレワークを導入する前の基礎知識を解説します。
テレワークを導入するおもなメリットは、以下のとおりです。
多様な人材を雇用できる
さまざまなコストを削減できる
緊急時でも事業を継続することが可能
営業の効率性アップ
企業のブランドイメージが上がる
デジタル化を促進できる
在宅で働けるテレワークを導入すれば、フルタイムで働けない人や会社から遠い場所に住んでいる人なども雇用することが可能です。働きやすい会社として、イメージがアップするのもメリットです。
また、交通費やオフィス賃料を抑えられ、長期的にはコストを削減できることもメリットといえます。
災害などの緊急時に、本社に出勤しなくても仕事ができるだけでなく、ITツールの導入による営業効率が向上したり、デジタル化を進められたりするなどのメリットもあります。
テレワークを導入するデメリットも見ていきましょう。
勤怠やタスクの管理が困難
セキュリティリスクが高くなる
従業員のマネジメントや評価が難しい
テレワークはいつでもどこでも働けるため、従業員の管理が難しくなります。いつ仕事を終えたのかや進捗状況などを把握するのは困難でしょう。
また、パソコンやスマホなどの紛失、のぞき見による情報漏洩のリスクもあります。テレワークを導入するときは、管理システムやセキュリティ対策ツールなどを利用する必要があるでしょう。
テレワークの導入を決めてから、社員に浸透させるまでの一般的な流れは以下のとおりです。
目的と基本方針を定める
導入するプロセスを明らかにする
プロジェクトチームを立ち上げる
テレワークが実施できる業務を分析する
対象者・勤務形態を決める
社内制度やルールを見直す
社内教育をおこなう
テレワークを導入するときは、最初になぜテレワークを導入するのか目的を明確にしましょう。あいまいな目的のままテレワークを導入しても、どのような効果を期待できるのかわからず、定着しない可能性があります。
新しい働き方のテレワークに不安を覚える従業員もいるため、説明会を実施してITツールの使い方などを研修することも重要です。
最後に、テレワークの導入でよくある質問と回答を見ていきましょう。
テレワークを導入するときは、パソコンや周辺備品の購入、インターネット回線の契約などで費用がかかります。ほかにも、会議や電話などに利用するコミュニケーションツールや勤怠労務管理システムが必要です。
導入コストはかかりますが、補助金や助成金もあるためコストを抑えられるでしょう。
テレワークの導入で失敗しないためには、導入目的を明確にする必要があります。生産性の向上やコスト削減、労働時間の縮小など自社なりの目的を定めることが大切です。
また物理的に仕事をしている様子がわからないため、就業規則や評価制度なども見直しましょう。本格的に導入する前に、トライアル期間を設けて評価と改善点を確認することもおすすめです。
「一般社団法人日本オフィス家具協会」の調査によると、毎日職場に通う人はコロナ感染拡大前では87.7%と高いパーセンテージでしたが、緊急事態宣言発令中になると59.9%まで減っています。
ただし、毎日職場に通う人は2022年11月時点では70.9%まで増えているため、
出社率を増やす動きや、出社とテレワークのハイブリッドが増えることが予想されています。
※参照:一般社団法人日本オフィス家具協会|ウイズコロナ時代の 働く場とオフィス についての調査
テレワークを導入している企業は、コスト削減や多様な人材の雇用、営業の効率性アップなどに成功しています。創業時から完全テレワークをしている会社もあり、今後も新しい働き方として定着していくことが予想されます。
ただし、テレワークはタスク・進捗管理が難しく、セキュリティ面にリスクもあります。本格的に導入する前に目的と基本方針を定め、社内教育をおこなうことが重要といえます。本記事を参考に、多様な働き方として対応を進めていってください。
サービスオフィスを複数棟、比較検討できます。
気になる物件を選び、条件や設備などの違いを確認してみましょう。一覧表で比較ができる便利な機能です。比較資料としてご利用ください。