新規事業の立ち上げを検討していて、絶対に失敗させたくないと考えている人も多いでしょう。本記事では、新規事業で失敗する6つの原因や実際に失敗した5つの事例、新規事業で成功するためのポイント、立ち上げに役立つサービス・制度などを取り上げます。
「新規事業の失敗を防ぐコツを知りたい」「新規事業で成功するためのポイントを把握したい」と考えていませんか。
新規事業を絶対に失敗させたくない場合は、失敗する原因を理解し、対策を立てる必要があります。また、新規事業立ち上げに役立つサービスを活用することもおすすめです。
本記事では、新規事業で失敗する6つの原因や実際にあった5つの失敗事例、新規事業で成功するためのポイント、役立つサービス・制度などを紹介します。
本記事を読むことで、新規事業で失敗する原因を理解でき、成功へと近づけられるでしょう。
新規事業で失敗する6つの原因
新規事業は、以下のような原因で失敗する可能性があります。
成功体験や事例への執着
明確な目的なく新規事業の立ち上げ
準備不足で新規事業の推進
業績管理を重視
推進役のメンタル問題
タイミングが悪く新規事業の伸び悩み
ここでは、各原因の詳細を紹介します。
成功体験や事例への執着
今までの成功事例が足かせになり、新規事業で失敗する可能性はあります。なぜなら、成功体験や事例を知っていることで、新しいニーズや課題に対してアプローチできなくなるためです。
事業を成長させるためには、新たな課題を見つけるなど、新しい発想をできる力が求められます。特に成功事例が多い会社ほど、過去の栄光に縛られてしまう傾向にあり、新しい事業が軌道に乗らないリスクがあります。
明確な目的なく新規事業の立ち上げ
目的がないまま「とりあえず新しいことをやる」というマインドで、新規事業を立ち上げてもうまくいきません。
最終的なゴールはどこなのか、どんな課題を解決したいのかが明確になっていなければ、事業の方向性が定まらずに短期間で終わってしまう可能性があります。
事前に目的をはっきりさせておくことで、どのように計画を進めていけばいいのかわかりやすくなり、事業成長につなげられるでしょう。
準備不足で新規事業の推進
準備不足も、新規事業の失敗を招く原因になります。新規事業立ち上げの知識がなかったり、人材を確保していなかったりすると事業はうまくいきません。
また市場分析を怠っていたり資金が不足していたりする場合も、新規事業を始めるにはリスクがあります。万全の準備を整えてから新規事業を推進しましょう。
業績管理を重視
業績管理ばかりに気を取られてしまっても、新規事業は成功しない可能性があります。
新規事業においては価値作りや将来性が重要です。目先の売上を優先してしまうと、長期的に持続可能な事業の仕組み作りをおろそかにしてしまうリスクがあります。
業績管理は必要なことですが、価値作りや将来性についても強く意識するようにしましょう。
推進役のメンタル問題
新規事業の推進役が精神的に参ってしまい、失敗につながるケースもあります。
新規事業はすぐに成果が出るものではなく、推進役がダメな部分ばかりを指摘されていると、メンタルが疲弊してスムーズに進められません。
昨今、メンタルヘルスの重要性も謳われているため、ハードになりがちな新規事業の立ち上げには、カウンセリングなどを取り入れることを検討しましょう。
タイミングが悪く新規事業の伸び悩み
新規事業立ち上げのタイミングが悪い場合も、失敗する可能性を高めてしまいます。すでに流行が去っていた時期や、競合他社の競争が激しくなっている時期などに参入しても、事業成長につなげられません。
タイミングを誤ってしまうと、事前準備なども台無しになってしまうため注意が必要です。
新規事業で失敗した5つの事例
新規事業で失敗した事例を把握しておくことで、成功に近づけられるでしょう。実際にあった失敗事例は以下の5つです。
セブンイレブン「電子決済」
Google「Googleグラス」
リノモ「EV車開発」
ユニクロ「野菜販売」
ハーレーダビッドソン「香水」
ここでは、各事例の概要と失敗した経緯を紹介します。
セブンイレブン「電子決済」
セブン&アイ・ホールディングスがスタートさせた「7pay」という電子決済事業は、開始からすぐに不正アクセス被害が報告され、1ヶ月後には廃止となりました。
被害状況は808名、3,861万5,473円となっており、セブン&アイ・ホールディングスは被害をすべて補償しています。
不正アクセス被害の原因は、認証レベルが低かったことだけではなく、開発体制やシステムリスク管理体制の不備です。セキュリティに対する認識が甘かったために、不正アクセスにつながっています。
Google「Googleグラス」
メガネ型の端末である「Googleグラス」は、発表当時は大きな話題になったものの、一般市場で広まることはなく失敗事例として知られています。
失敗した理由は、プライバシーの問題や価格だけではなく、「Googleグラス」の機能はスマホで代替できるため普及しませんでした。「Googleグラス」の件は、ニーズがない場合に事業は失敗する事例といえるでしょう。
リモノ「EV車開発」
リモノは布製の車体で、2人乗りの超小型電気自動車を開発して大反響だったものの、休業に追い込まれてしまいました。その理由は法整備です。
超小型モビリティは、自治体ごとに走行許可を申請し、定められたエリア以外で走行できない決まりがあります。走行できる範囲が狭いからこそ、販売台数が伸びずにコストも下げられず、事業を休止することになりました。
優れた商品やサービスを作ったとしても、法制度により失敗してしまう事例は少なくありません。
ユニクロ「野菜販売」
ユニクロはかつて、野菜通販事業を始めたものの2年で約28億円の赤字を出してしまい、撤退した失敗事例があります。
失敗理由は、ユニクロの衣料とは異なり安定供給や在庫管理が難しく、会員数も伸び悩んだことです。戦略の筋違いや技術力不足によって、規模を拡大することはできませんでした。
ハーレーダビッドソン「香水」
世界的なオートバイメーカーのハーレーダビッドソンは、ファンをターゲットにして香水を販売しましたが、売り上げが伸び悩み販売中止にしています。
ハーレーダビッドソンが持つイメージの「男らしさ」を全面に打ち出した香水だったものの、香水らしい香りではなく失敗に終わりました。
また男らしさに香水はマッチせず、イメージやブランドの価値を下げることにもつながった失敗事例です。
新規事業で成功するためのポイント
新規事業を成功させるためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
将来のニーズを分析
必要な人材を確保
失敗を許容できる状況
根拠のある内容の事業計画書を作成
新規事業立ち上げまでのスピードを意識
ここでは、各ポイントの詳細を紹介します。
将来のニーズを分析
新規事業で提供するものが将来も必要とされるのか、しっかりと分析しましょう。どれだけ優れた商品やサービスでも、ニーズがなければ事業は継続できません。
将来のニーズを把握するためには、顧客の声など今のニーズにとらわれないことが重要です。顧客の声に引っ張られてしまうと、強みも特徴もないアイデアになってしまうリスクがあるためです。
一部の声を受け入れることは問題ありませんが、将来性の有無を中心にニーズを分析しましょう。
必要な人材を確保
新規事業で成功するためには、人材の確保も重要です。リーダーとして活躍できる人材や大胆な発想ができる人材など、新規事業創出において求められる能力を有している人材を集めることで、成功につなげられます。
人材の確保だけではなく、チーム体制を整えることも重要です。経験豊富で優秀な人材のみを集めるのではなく、さまざまな個性を持つ人を組み合わせた多様性のあるチームを作りましょう。そうすることで、それぞれの個性を生かしてより強固な人員体制を整えられます。
またチームのバランスを考えないと、人間関係でトラブルが起こったり業務が滞ったりする可能性があるため、注意しましょう。
失敗を許容できる状況
新規事業でいきなり成功することは難しいため、失敗を受け入れられるように準備することも重要です。失敗の経験を分析して学びとする体制を整えたり、金銭的余裕を確保したりすれば、失敗を許容できる可能性が高まります。
ただし、事業を失敗し続けるわけにはいかないため、あらかじめ撤退する基準も決めておくとよいでしょう。
根拠のある内容の事業計画書を作成
現実的で、しっかりした根拠のある事業計画書を作成することも、新規事業で成功するためのポイントです。楽観的で理想しか書かれていない事業計画書では、目標に到達できません。
事業計画書は、以下の手順で作成しましょう。
コンセプトの作成
顧客に何を提供するのか明確化
提供する仕組みを設計
収益アップの検討
利益を得るための計画
事業コンセプトを作成する際は、アイデアをたくさん出して絞り込むようにしましょう。
誰にどのような価値を提供するのか、入念に考えることも重要です。しっかりとマーケティングを行い、提供するものを顧客に届けるための仕組みも設計しましょう。
また、収益につながらなければ事業として成り立たないため、収益を得る方法や利益計画を立てることも、おろそかにしてはなりません。
新規事業立ち上げまでのスピードを意識
立ち上げのスピードについて意識することも、新規事業で成功するためのポイントです。ライバルのいないマーケットを発見したとしても、立ち上げまでに時間をかけてしまうと競合が参入してきてしまい、シェアを奪われるリスクがあります。
また、時間をかけすぎると途中でやめにくくなるケースもあるため、新規事業ではスピードが重要です。
新規事業の立ち上げに役立つサービス・制度
新規事業の立ち上げには、以下のようなサービス・制度が役立ちます。
国や自治体の補助金・助成金の申請
有料・無料のITツールを導入
新規事業向けのコンサルに依頼
事業所確保にフレキシブルオフィスを利用
ここでは、各サービス・制度について取り上げます。
国や自治体の補助金・助成金の申請
新規事業に適用できる補助金・助成金はたくさんあるため、申請するとよいでしょう。主な国や自治体の補助金・助成金は、以下の通りです。
補助金・助成金の種類 | 概要 | 金額 |
キャリアアップ助成金 | 非正規雇用のキャリアアップを促進するために、処遇改善などの取り組みを行った事業主に対して助成 | 大企業は1人当たり16万9,000円~、中小企業は、1人当たり22万5,000円~ |
小規模事業者持続化補助金 | 生産性向上のための取り組みに交付 | 上限金額50万円 |
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 | 革新的サービス開発・生産プロセスの改善などを行うための設備投資などをサポート | 中小企業の補助率1/2、 小規模企業者・小規模事業者の補助率2/3 |
創業助成金 | 創業初期に必要な経費の一部を助成 | 上限額300万円、下限額100万円 |
他にも事業承継補助金などの制度があるため、国や自治体のホームページなどを確認して、該当するものがあれば申請しましょう。
有料・無料のITツールを導入
既存のITツールも新規事業の立ち上げに役立ちます。ゼロからシステムを構築するのには時間がかかるためです。以下のようなITツールは、予算が少ない中でも導入しやすいでしょう。
サイトの作成や更新を行える「WordPress」
アクセス解析できる「Googleアナリティクス」
電子契約サービスの「クラウドサイン」
コミュニケーションサービスの「Slack」
中には無料で使えるサービスもあるため、できるだけコストを抑えて業務効率を向上させたい場合は、ITツールを導入しましょう。
新規事業向けのコンサルに依頼
新規事業コンサルティングも立ち上げ時に役立ちます。新規事業コンサルティングを提供している会社はたくさんあり、以下のようなサポートを行っています。
専門アナリストによるデータ分析
アイデア創出から事業化までの支援
金融機関からの資金調達支援
人材採用支援 など
コンサルティング会社によって特徴は異なりますが、新規事業立ち上げがうまくいかないときに相談することで、失敗するリスクを減らせるでしょう。
事業所確保にフレキシブルオフィスを利用
「シェアオフィス」や「コワーキングスペース」などのフレキシブルオフィスも、新規事業立ち上げ時に役立ちます。一般的な賃貸オフィスよりも柔軟な利用形態になっており、昨今話題を集めています。
そんなフレキシブルオフィスのメリットは、以下の通りです。
賃料を削減できる
複数の拠点を持てる
人材採用しやすい
コストを抑えられるだけではなく、居住地を問わず幅広いエリアから人材を採用できるメリットもあります。一方で共有スペースを利用するため、セキュリティリスクが高まることはデメリットです。重要な作業を進める際は、個室を選ぶようにしましょう。
新規事業の失敗するリスクは下げられる
新規事業は、成功体験への執着や準備不足、無目的などが原因で失敗する可能性があります。誰もが知っている大手企業・有名企業や革新的な商品・サービスであっても、新規事業で失敗することは珍しくありません。
新規事業で成功するためには、将来のニーズを分析するだけではなく、必要な人材を確保し、失敗を許容できる状況も作りましょう。ライバルからシェアを奪われないように、立ち上げまでのスピードを意識することも重要です。
国や自治体の補助金・助成金を申請したり、ITツールを導入したり、フレキシブルオフィスを利用したりすれば、コスト負担を減らして業務効率を上げられます。また、新規事業向けのコンサルに依頼することで、立ち上げ時の諸問題を解決してくれるでしょう。
新規事業で失敗する原因を把握し、失敗するリスクを下げて成功をつかみ取りませんか。
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