新規事業のアイデアが思いつかないと頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。アイデア出しは事業の方向性を決めるため重要なフェーズです。本記事では、アイデア発想法や考えをまとめるためのツールのほか、事業を成功させるためのコツも紹介します。
自分で新規事業を立ち上げたいと考えている方は、どんな事業を選び戦略を立てていくべきか、頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。特に事業計画序盤のアイデア練りは事業の方向性を決めるため、成功させるには重要なフェーズです。
そこで本記事では、新規事業をどのように考えていくかについてのアイデア発想法や、思いつかないときに考えをまとめるためのツールなど、効率的な構想方法をご紹介します。
さらに発想した新規事業を成功させるためのコツについても解説するので、これから立ち上げようと検討している方はぜひ参考にしてください。
新規事業といっても、そもそも何をやるのか、見込みがあるのかなど、なかなか良い案が思いつかないこともあるでしょう。そこでまずは以下の4つの方法から、新規事業のアイデアを探してみてください。
リサーチする
自社の理念や目標から考える
イベントへ出向く
アイデア発想法を利用する
以下で各方法を詳しく解説していきます。
事業で重要なことの1つは「誰かに求められていることか?」ということです。それを知るためには、まずリサーチしましょう。具体的にはネットや書籍のほか、普段の人付き合いの中で不満があるものを調べてみてください。不満が見つかれば、それを解決する「物」が求められていることがわかります。
誰かに求められていることで事業を展開すれば、需要があるため顧客がつきやすく、人気が出る可能性も高まるでしょう。
すでに会社を持っている方や自分の中で譲れない点がある方は、その理念や目標から考えてみることもおすすめです。例えば「人の役に立つこと」を理念とするなら、その点に着目した事業に絞ることができます。
もし会社であれば、既存の自社イメージを利用することが可能なため、社内の賛同も受けやすいでしょう。また、その先のマーケティングでもノウハウを利用することができます。
ただし、こういった目標や理念から考えた新規事業は既存事業と被ることもあるため、差別化を意識して市場調査もしっかり行って検討する必要があるでしょう。
新規事業の考案に煮詰まったら、イベントやセミナーに赴いて新しい情報を得ることも大事です。新しい事業を思いつくためには、デスクに向かって考えるだけでは良いアイデアは生まれにくいためです。
既存事業と差別化を図りつつ需要があるサービスを考案するためには、より多くの知見を得て柔軟にならなければなりません。そのため、イベントやセミナーなど、自分とは違う意見や観点を得られる場所へ行ってみるのも1つの手です。思いもよらないところから新しいアイデアやきっかけが得られるかもしれません。
新規事業を考案し、その計画をまとめるには大変な労力がかかります。そのため、より効率的に考案していくためには、アイデア発想法を利用することも重要なポイントになるでしょう。
アイデア発想法とは、アイデアを客観的に分析して考案する方法です。分析することで考えをまとめたり、事業のターゲットを絞り込んだりすることに役立ちます。
詳しい方法は、のちほど「新規事業思いつかないときのアイデア発想法7つ」でご紹介するので、ぜひそちらを参考にお試しください。
新規事業のアイデアがなかなか思いつかないときに、無理に計画を進めると失敗してしまう可能性があります。例えば以下のようなケースでは注意が必要です。
既存事業のアイデアをほぼそのまま使ってしまう
事業の目標・価値・展開が曖昧
アイデアが思いつかないあまりにただ真似しただけであったり、中身がない企画であったりすると、事業に行き詰まり失敗してしまう恐れがあります。そもそも同じ事業を狙うだけでは、すでに市場で人気がある競合他社に勝つのは難しいです。また、目標や展開が曖昧なまま進めてしまうと、見当違いの結果となり資金の浪費に繋がってしまいます。
新規事業のアイデアを思いつかないからといって「行けそうだ!」と見切り発車で進めずに、まずは冷静に市場調査を重ねて事業計画の中身を充実させていきましょう。
ここからは、新規事業のアイデアが思いつかない際におすすめなアイデア発想法を7つご紹介します。
強みと弱みを分析する
既存の成功モデルを参考にする
掛け合わせてみる
社会的な問題から考える
価値のないものに価値を付加する
外部の力を借りる
どんどん数を出す
アイデア出しに迷ったなら、まずは気軽にいずれかの方法で情報を整理することがおすすめです。それぞれの方法を詳しく見ていきましょう。
事業には自社・他社ともにそれぞれ強みと弱みがあります。まずは、これまでの経験や実績からどのような強みと弱みがあるのかを探ることで、それらを活かした事業を考案することが狙えます。
イメージとしては以下のように考えを発展させます。
弱みがある→解決できることは?
強みがある→活用できる方法は?
このように自社や他社の弱みを解決する事業なら、今までカバーできなかった需要を狙うことが可能です。逆に強みがあるなら事業計画に活かすことで、計画をより強固なものにすることができるでしょう。
既存の成功モデルを参考に、新規事業に応用することも1つの手です。
成功しているビジネスモデルは、需要があるものを適切な展開で進めることができているからこそ、成功しているといえます。そのため、その成功モデルの展開方法を参考に事業化することで、需要を狙えるかもしれません。
わかりやすい例として、EC通販(オンラインショップ)は事業モデルの1つとして、多くの消費者に受け入れられています。業種やターゲットを変えて、このようなビジネスモデルを利用すれば効果的に事業展開しやすいでしょう。
趣味と年齢など異なる要素や区分を掛け合わせて、新事業のアイデアを練ってみることもおすすめです。
また、掛けるだけではなく要素を足したり引いたりすることも考えてみてください。例えば流行りの飲食物を合体させた事業などは、よく見られることが多いです。さまざまな要素を組み合わせてみることも検討してみましょう。
社会的な問題から考えることもよいでしょう。社会の中にはさまざまな問題があるため、その問題を取り除く事業は需要があります。
多くの事業は消費ビジネスが主であり、社会貢献度は低いことがほとんどです。そのため、人々が不便に感じていることに目を向けて事業を考えれば、社会的に貢献しながら事業を展開することもできるでしょう。
一見価値のないものに価値を付加する事業もおすすめです。通常は手放すようなものや捨てるようなものでも、誰かにとっては価値がある場合があります。
例えばメルカリなどのフリマアプリは、いらないものを個人間で取引する事業といえます。視野を広く持ち、こういった無価値なものを活用した事業も検討してみてください。
アイデアを思いつかないのなら、外部の力を借りることもひとつです。条件次第では、大きな差別化を図れるアイデアが生まれることがあります。具体的には以下のような手段です。
トレーニング:生まれたアイデアを磨いたり企画を演習したりする
ワークショップ:アイデアを考案し検証する
アイデアコンテスト:外部からアイデアを募集する
オーディション:アイデア持ち込んでもらって審査する
アイデアを出すためのトレーニングやワークショップは、さまざまな企業が会社の新たな展開を促進するための支援を行っています。またアイデアコンテストやオーディションは、社内でも外部でも行うことができます。所属や立場にかかわらず柔軟なアイデアを募集することができるでしょう。
アイデアが思いつかないなら、とりあえずアイデアの数をどんどん出す方法もよいです。事業のアイデアというと、確固たるものでなければならないという考えがあるかもしれません。
しかしアイデアが思いつかないなら、あまりこだわらずに気軽にアイデアをたくさん並べてみることも大切です。多くのアイデアを並べて検討することで、そこから画期的な事業を思い付くかもしれません。
どうしても新事業のアイデアが思いつかないこともあるかもしれません。世の中には優れたサービスやアイデアが飽和しており、差別化を図りつつも需要が見込める事業を考えるのは簡単なことではありません。
そこで、どうしても思いつかないときにおすすめなのが、以下の5つのツールです。
強制連想法
チェックリスト
ブレインストーミング
マンダラート
KJ法
これらのツールでは、視覚的・客観的にアイデア出しをすることが可能です。思いついたものを整理したり、世界観を広げたりするのにも役立ちます。以下で各ツールを詳しく解説するので、お悩みの方は気になるものからぜひお試しください。
強制連想法とは、単語カードを使用して机上で視覚的にアイデアを発想させていく方法です。この方法は、一見関係性がないように思える単語からアイデアを合体させたり、柔軟に早くレスポンスをしたりしてアイデアを生み出す練習をします。
具体的には、異なる単語やアイデアが書かれたカードを2種類用意し、それぞれの束から1枚ずつ選びます。そしてそれぞれ出た結果から、新しくアイデアを生み出していく形です。
じつは、この強制発想法は実際にビジネスシーンで活用されており、ソフトバンク株式会社の会長を務める孫正義氏も行ったことで知られています。実用的でありながら、単語カードを用意するだけで簡単に行える手軽さが魅力の方法です。
チェックリスト法とは、あるテーマや対象にチェックリストを当てはめて、9つの項目に答えていく方法です。アメリカの実業家であるアレックス・F・オズボーンが考案したもので、オズボーンチェックリストとも呼ばれています。
この方法は、テーマやアイデアに対して活用法を探っていくタイプのため、すでにベースの事業アイデアがある場合に向いています。
答えていく項目は以下の9つです。
転用:他にも使えないか?
応用:アイデアを再活用できないか?
変更:アイデアを変えるのはどうか?
拡大:大きく広げてみたらどうか?
縮小:小さくしてみるとどうなるか?
代用:他のアイデアで代用できないか?
置換:入れ替えることで活用できないか?
逆転:逆の発想にしてみたらどうなる?
結合:組み合わせてみるとどうなる?
例えば転用を行った事業例として、食品やアパレルなどのアウトレット専門店が挙げられます。活用できるけれど使われなくなったものを転用し、新たな付加価値を与えている事業の1つです。
このように発想を転換していくのに役立つので、もしアイデアを固めたりするのに迷っている際はおすすめの方法です。
ブレインストーミングは、複数人で自由に発言しアイデアを出し合う方法です。普通の話し合いとは違い、誰かの発言を遮ったり否定したりしないで、自由に意見を発するというルールがあります。シンプルですが、複数人の考え方や発想を交えることで、1人では思い至らなかったアイデアが生まれることが望める方法です。
このツールは、事業を共同で行える同僚や協力者がいない場合は活用できません。しかし複数人で新事業を考案する状況である場合には、自由により多くのアイデア出しが行える方法といえるでしょう。
マンダラートとは、マス目にアイデアを書き込んでいく方法で、アイデアを整理したり拡げたりすることを狙えます。マンダラートは、曼荼羅模様に似ていることからその名前がつけられており、視覚的に仏教の世界観を表現している曼荼羅のように、中心核から関連するアイデアを展開することが特徴です。
難しそうに見えますが、具体的な方法は簡単です。ます紙か、パソコンやスマホで3×3のマス目を用意します。中心核となるアイデアを据え置き、その周りのコマに関連・展開するアイデアを埋めていくだけです。視覚的にアイデアを整理したり、繋がりや拡大が狙えたりするかなどを検討したい場合におすすめの方法です。
KJ法とは紙にアイデアを書き、それを移動させたりしてアイデアを整理する手法です。新たな事業を練り出すために出された大量のアイデアを、一つ一つ整理していくことが狙えます。この方法を行うには、まず付箋や小さいメモなどを用意してください。
手順は以下の通りです。
アイデアを一つ1枚に書き込み並べる
似ているアイデア同士を10個程度までグループ化しタグを付ける
タググループ同士の関連性で配置し、記号で図解する
図解化したラベルや関係性を文章でまとめる
図解化の際はツリー、サテライト、サイクル、フローなどの図形パターンと、矢印などの記号を組み合わせて、視覚的に関連性を整理してみてください。このように情報を整理していくことで、事業案として固めるのに役立ちます。
また、ブレインストーミングなどで出たアイデアを、このKJ法でまとめる方法もおすすめです。
新規事業のアイデアが思いついたら、いよいよそれを稼働させていくことになります。そこで重要になるのは、新規事業を成功させるための対策と計画です。続いては、新規事業を成功させるためのコツについて解説します。
まずは以下の3つのポイントを詰めていきましょう。
事業を成功させるためのプロセス作りをする
ロールモデルを作ってみる
ターゲットを絞る
事業を成功させるためには、プロセス=計画の段階を練ることが大切です。計画なしに突然事業を始めるだけでは、顧客を呼ぶことはおろか事業が失敗する可能性すら出てしまいます。そのため、まずは新規事業のプロセスを以下のように確認していきましょう。
新規事業と理念がかけ離れていないか検討
市場で環境とニーズを分析して調整
顧客の悩みを分析して反映する
事業に独自性を待たせて付加価値を作る
テスト販売などで顧客の反応を見る
1~5を踏まえたうえで改善する
完成度を高めて正式にサービス開始
このようにプロセスを経て自社、市場、顧客のそれぞれでニーズに合っているか、分析と確認を重ねながら事業企画を固めていくことがポイントです。さらにプロセス終盤では必ずテストを行い、正式にサービスを開始する前に完成度を高めておきましょう。
新規事業ではロールモデルを作ってみることも大切です。この場合のロールモデルとは、新規事業の商品・サービスを利用することで、顧客に生まれる喜びや結果を想定することです。ニュアンスとしては、以下のようなポイントで利用するイメージを固めていきましょう。
どんな顧客に展開するのか?
このサービスを利用したらどんな喜びがある?
顧客はどんなシーンで利用する?
利用することでどんなことに繋げて欲しい?
これらを踏まえたうえでロールモデルを作り、そのために必要なことや対策を練ることで、より顧客の心を掴むことを狙います。
わかりやすいロールモデルとして、数年前に話題となった使い捨てカメラで考えてみましょう。使い捨てカメラの「写ルンです」は、デジタル撮影が主流となった現在では廃れてしまった商品です。
しかしフィルムカメラの情緒感や撮り直しできない特別感に着目し、触れてこなかった若者世代にアプローチしたことで再ブーム化。さらに世代に合わせてデータ化のシステムも導入し、SNSにも気軽に投稿できるようになったことでも話題となりました。
実際の正確なロールモデルはわかりません。しかし、このような新世代向けの使い捨てカメラを企画するなら、ロールモデルは「若者世代が日常や旅行先での一期一会の思い出を自然体で残せる。また、SNSでも気軽に喜びを共有して欲しい」というように想定します。
このように想定することで、例えば若者向けのおしゃれなデザインにしたり、データ化できるサービスと連携させたりといった「商品・サービスのために何が必要か?」という部分が見えやすくなります。
商品・サービスを正確にアプローチをするためには、ターゲットを絞り込むことは必要不可欠です。幅広く売りたいからといって、誰に売りたいのか分かりにくくなってしまうと、逆に目に留まらない商品になってしまいます。
例えば和食、アメリカ料理、インド料理、中華料理を盛り合せた定食を出す飲食店があったらどうでしょうか?さらに店主の趣味でシアトルコーヒーも売り出しています。これでは、珍しさを狙っているのか大衆食堂なのか、はたまた珈琲専門なのか分かりにくくなってしまいます。いずれかを選びたい顧客も利用しにくいでしょう。
しかしターゲットを絞ることで、以下のようにアプローチまで繋がりやすくなります。
ターゲット | 商品・サービス内容 | そのためのアプローチ |
男性・ファミリー向けでガッツリ食べたい人 | アメリカ料理とコーヒーの専門店 |
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オールマイティーより、このようにターゲットを定めて専門に特化したほうが「それを利用したい!」という顧客に繋がりやすくなります。もしターゲットを定めていないのなら、今一度どこにアプローチしたいのか考えてみましょう。
本記事では新規事業が思いつかない場合のアイデアの出し方についてご紹介してきました。アイデアが浮かばない場合は机を見つめて悩んでいるより、新たにリサーチしたり他から情緒を得たりすることが大切です。さらにアイデア発想法やツールを使用し、新規事業のアイデアをより一層固めていきましょう。
また、理念など譲れない点を定めつつも、アイデアは柔軟な発想を常に意識することです。優れた商品・サービスが多い中で新規事業を考案するためには、さまざまなことを知り、それを活かす柔軟さが必要不可欠です。
ご紹介したツールを組み合わせたりすることで、自由な発想で事業を立ち上げてみてください。
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