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新規事業の開発のプロセスが知りたい人へ手順とポイントを徹底解説

画期的なアイデアでも、計画がおろそかだと事業は伸び悩んでしまいます。しかしプロセスを経て完成度を上げれば、人に求められる新規事業に進化できます。本記事では、新規事業の理想的な開発プロセスとポイントを徹底解説し、役立つツールもご紹介します。

新規事業を開発するにはプロセスが重要です。クオリティが低い事業は顧客にも伝わりにくいため、伸び悩んでしまうでしょう。しかし、調査やテストなどのプロセスを経て事業の完成度を上げれば、多くの人に求められる事業に進化できます。

そこでこの記事では新規事業の開発に着目し、理想的な事業開発プロセスについて徹底解説。さらに事業開発でのポイントや使えるツールもご紹介するので、新規事業を立ち上げたいと考えている人はぜひご覧ください。


新規事業開発のプロセス

まずは新規事業を開発するためのプロセスを見ていきましょう。

  1. ファクト収集

  2. ファクト収集の結果から分析

  3. アイデア出し

  4. コンセプトをまとめる

  5. コンセプトに沿った商品の開発

  6. 商品やサービスの提供


ファクト収集

最初にファクト収集を行います。ファクト収集とは、アンケートやインタビューでどんなものが需要があるのか情報を収集することで、事業の企画を固めるためにはこの調査が重要です。

またファクト収集する際には、個人の心理学的影響=バイアスのかかったファクトである可能性についても、念頭に置いておかなければなりません。例えば、次のような内容です。

  • 確証バイアス:一度解釈した考え方の枠組みに囚われること

  • 認知的不協和:認識と矛盾した情報を得たときに、認識と違う不快感から逃げてしまう

  • 選択的注意:注視した事柄に意識は向くが、それ以外は無視してしまう

  • 基本的帰属錯誤:行動を考察する際に、その人の性格など先入観で判断してしまい、状況や環境の影響を考慮できない

このような影響を加味したうえで収集した情報を元に、簡単な仮説も複数立てていきましょう。例えば台湾についてのファクトが複数集まっていたら、「台湾が流行っているから、台湾料理に需要があるだろう」といった仮説を立てるといったイメージです。

仮説を立てることで「人の注目が集まっているものから、何に需要が見込めるのか」という事業の”卵”を得ることができます。


ファクト収集の結果から分析

次に収集した結果と仮説から分析していきましょう。例えばどのような人から情報を得たのか、何を求めているのかといった点に注目してみてください。情報から顧客が求めるもの=ニーズを見つければ、事業の目的を定めていくことができます。


アイデア出し

次に分析した結果を踏まえて、アイデア出しを行います。その際には以下のような方法を使うこともおすすめです。

  • チェックリスト:項目に当てはめてアイデアを考案する

  • ブレインストーミング:自由に話し合って柔軟なアイデアを出す

  • マンダラート:テーマから関連するアイデアを視覚的に整理・拡大する

  • KJ法:アイデアをグループ化して整理し関連性を考案する

調査と分析の結果から、ニーズに答えるアイデアや悩みを解決するアイデアを自由に出していきます。また、すでに自社として確固たるものを築き上げているのなら、その自社の理念も大切にしつつ強みを活かした事業を考案することも必要でしょう。


コンセプトをまとめる

続いて出したアイデアからコンセプトをまとめ、事業のイメージを固めていきましょう。コンセプトは、市場・ターゲット・提供価値・価値根拠・提供方法を具体的に決めていきます。その際には5W2Hを意識してまとめてください。

5W2Hとは?

5W2Hとは、以下のように顧客のイメージを仮定するものです。

単語

内容

When

いつ、どんなときに

Why

なぜ、どのような理由で

Who

誰が、どんな人が

Where

どこで、どのような場所で

What

具体的に何を

How

どのように

How much

どのくらいの価格で

コンセプトに沿った商品の開発

ここまでのファクト収集・分析・アイデア出し・コンセプトをまとめたら、ようやく事業内容を明確な形として開発を行いましょう。売り出し価格などもしっかり調査し、市場からかけ離れすぎない設定が必要です。

また、開発してすぐに提供するのではなく、試作やテストをして反応を得るなどして、正式展開の前にブラッシュアップを行いましょう。


商品やサービスの提供

いよいよサービス・商品の新事業の提供を始めますが、油断は禁物です。プロセスはこれが最後ですが、事業のゴールではありません。事業のクオリティを落とさず安定的に継続させるためには、顧客の分析を定期的に行っていく必要があります。

また、正式提供に伴って得た反応を踏まえて、サービスや商品の改善も行っていきましょう。


新規事業を開発するためのポイント

新規事業を実際に開発する際は、どのようにして企画を磨き上げればよいのでしょうか。開発には客観的な視点を取り入れたり、情報を整理したりすることが必要です。ここからは開発するためのポイントを具体的にご紹介していきます。


新規事業開発方法を知る

分かりやすい事業開発方法の手法として、以下の2つを解説します。この手法を使うことで客観的に事業案を構築し、開発に繋げることができるメリットがあります。

  • リーンスタートアップ

  • オープンイノベーション


リーンスタートアップ

リーンスタートアップとは、アメリカの起業家エリック・リース氏が提唱したマネジメント手法です。コストをかけずに短期間で試作品を作り、顧客の反応によりさらに開発していくというものです。リーン(Lean)=痩せたという単語から生まれたように、ビジネスの無駄をなくすことをテーマとしています。

リーンスタートアップは以下の手順に沿って進めていきます。

手順

内容

1.構築

  • アイデア・仮説を元に企画

  • 顧客のニーズを仮定してビジネス案を練る

2.計測

  • ビジネス案をローコストで試作

  • テストを行い顧客の反応を見る

  • さらに流行に敏感な層でテストを行う

3.学習

  • 計測の結果を元に分析

  • 仮説や事業案で改善点がないか検討

  • 必要に応じて軌道修正

4.再構築

  • 学習を踏まえて改善か再構築するか判断

  • うまくいかない場合は見極めて再構築する

このように開発アイデアを構築し、検証していきます。開発と検証フローを当てはめて開発していくことで、事業案が複数あっても手順通りに進めるだけなので、検討もしやすくなるでしょう。


オープンイノベーション

オープンイノベーションとは、経営学者のヘンリー・チェスブロウ氏が提唱した概念で、革新的な企画を生み出すために内部と外部の両方のアイデアを活用するというものです。内部だけではなく外部の企業や専門的な人材を活かすことで、事業開発に多くのリソースを割いて効率的に進めることができます。

オープンイノベーションは以下の3種類があります。

種類

内容

事業開発型

初期段階から外部と共同作業で事業開発を行う

技術探索型

研究・生産など技術面だけ外部から協力してもらう

シーズアウト型

自社で生まれた技術を事業化せず外部に委託する

事業によっては外部の力を活用して、効果的な事業展開を狙っていくことも成功させるポイントになります。


成功体験に固執しない

新規事業においては、これまでの自社の成功体験に固執しないことも重要です。成功モデルがあるからといってそれを真似しても、新しい事業では効果的とはいえません。新規事業を開発するなら顧客のニーズを把握して、適切な計画を立てることが重要です。

また、失敗するケースにも注目しましょう。成功モデルを活かすことは効果的ではありませんが、過去の失敗体験などからうまくいかないケースについては参考にできます。

むしろ失敗する可能性への予測・対策が甘いことが、事業の失敗を招くともいえます。成功に繋げるためにも立ち行かないケースを仮定し、しっかり対策を立てていきましょう。


長期的な視点を持つ

事業を成功させるためには、長期的に見て無理のない計画であるかも重要なポイントです。例えば次のような視点で考えてみてください。

  • 事業に必要な人材、資源、資金などが十分であるか

  • 地道に利益を得ていく事業なら、それに耐えうるリソースがあるか。

また、失敗した場合や事業計画が予測より長く続くことになった場合などに備え、長期的に見据えて準備しておくこともおすすめします。


ニーズを明確にする

消費者がいる事業なら、ニーズを明確にしておきましょう。ニーズが明確であることは、どのようなアプローチ・戦略を立てるべきかなど、計画の核となります。逆にいえば、ここが曖昧だとアプローチや戦略なども的確なものを打ち出せません。

そのため、市場調査を行いニーズを調べ、それに当てはまる顧客たちがどのように考えているかについても、入念に調査して設定しましょう。


既存とのアイデアを組み合わせてみる

現代はさまざまな事業が飽和しており、本当の意味で新しい事業を生み出すことは難しいでしょう。そこで、より効果的な事業を生み出すために、既存のアイデアと組み合わせてみることもおすすめです。また、人に求められる事業という点に着目すれば、関心が集まっているものを組み合わせて、新しい事業を打ち出すことも1つの手です。

著名なビジネス書の作者であるジェームズ・W・ヤング氏も「新しいアイデアは既存の要素の組み合わせである」と説いています。既存のアイデアや事業を分析して、新たな事業開発に繋げられないか検討してみてください。


成功に向けた組織づくりを行う

新規事業の開発には、適切な組織・チーム作りも大切なポイントです。新たな事業に合わせ計画を立てて課題解決し、さらに目標を実行できる編成を行えば事業の成功に繋がります。適切な人材を配置できれば、円滑に計画も進めやすくなるでしょう。

その際は、事業計画を客観的に考察して計画する組織と、実際に新規事業を進めるためのチームという位置関係で配置することがおすすめです。効率性やそれぞれの専門的な知見を考慮し、計画を考える側と成功させるために計画を詰めつつ実行していく側という役割分担ができます。


新規事業開発の失敗する要因

新規事業の開発で失敗してしまうのは、どのようなことが要因となるのでしょうか?新規事業を成功させるためには、これらの失敗するケースを認識し対策を講じることが大切です。

ここからは新規事業で失敗する要因になる2つの事柄をご紹介します。


充分でないアイデア数とその検討不足

まず挙げられるのは、単純にアイデア数が足りないことです。基本的なことですが、アイデアの数が多いことは事業のクオリティに繋がります。どんなに唯一無二の発想という自信があっても、少ないリソースで作られたものは未熟な計画になってしまう可能性が高いでしょう。

また、それらのアイデアと計画を検討する時間が足りないことも失敗の要因となります。事業計画や問題点、それに対する対策の検討が表面的なもので終わってしまうと、成功に繋がりにくくなるでしょう。


外部内部問わずプロの力を借りない

自社や自分でやりたいからといって、専門家であるプロの力を借りずに頑なになってしまうのも危険です。もちろんプロの力を借りたからといって必ず成功するとは限りません。しかし専門知識が必要な場合に力を借りないと、事業計画のクオリティが下がり失敗するリスクが高くなってしまいます。

新規事業においては、資金繰りの面でも悩みどころではありますが、専門的なことはできるだけプロの力も借りることが賢明です。


新規事業開発で使いたいツール

新規事業開発では、アイデアを出す・まとめる・分析・構築など、多くのプロセスが必要です。そこで、それぞれの工程で情報を整理するためにおすすめのツールをご紹介します。ツールを使用することで、視覚的にも情報を整理することができるようになります。

うまく活用して、効率的に事業計画を固めていきましょう。


調査や分析で使えるツール

まずは初期段階の調査や分析で使えるツールをご紹介します。ここでは情報が多くある段階なため、それを整理していくツールを使うと役立ちます。

ツール

用途

効果

ポジショニングマップ

新規事業で市場参入した際に自社をどこの位置にするか仮定する

事業に独自性を持たせ、競合との差別化できる点を図れる

アドバンテージ・マトリックス

将来的に事業が競合より優位性を持続していけるか分析する

事業タイプを分析することで戦略を立てられる

3C分析

市場・顧客、競合、自社で比較分析して強みと弱みを探る

強みと弱みを知ることで戦略を立てられる

VRIO分析

事業内容と経営力を4つの項目に当てはめて分析する

自社の強みを推し量れる

STP

マーケティングで自社の立ち位置を決める

需要に対する戦略を明確にできる


アイデア関連で使えるツール

次にアイデア関連で使えるツールです。アイデア出しなどでは多くのアイデアを並べたり、まとめたりするツールを活用する必要があります。場合によっては複数のツールを併用して、事業案をまとめていきましょう。

ツール

用途

効果

マンダラート

テーマに対し発想を広げる

アイデア同士の関連性を整理できる

5W1H

顧客の行動とニーズを論理的に整理する

問題点が明確になり解決の糸口を見いだせる

ステークホルダー

事業の問題点や成功に繋がるポイントを把握する

情報を整理することで客観的に説明できるようになる

MVV

自社の理念を定義して組織・チームで共有する

意義などを明確にすることでチームの結束度が上がる

ペルソナ分析

顧客像を設定し、ニーズを考える

製品の集客率アップやアプローチ戦略を立てられる

SCAMPER(スキャンパー)


多くのアイデアを出す

多くアイデアを出すことで材料が増える


修正や改善で使えるツール

事業計画を進めるうちに、修正や改善が必要になることは多々あります。そこで使えるのが以下の5つのツールです。あらためて、どのようなもので何が必要か知るために、ぜひ活かしてみてください。

ツール

用途

効果

ECRS

排除・結合・交換・簡素化の4つの視点から業務を見直せる

事業内容を見直し効率化することができる

製品ライフサイクル

製品の導入~成長~衰退までのサイクルを分析する

サイクルを踏まえた事業展開の計画を立てられる

バリューチェーン分析

プロセスを連なる要素として分析する

競合と自社の強みを再分析できる

ピラミッドストラクチャー

結論と根拠を明確にして本質的な分析をする

論理的な観点から事業根拠を探れる

PDCA

効率的な事業手順を考案する

フロー化することで効率的に進めるとができる


事業構築で使えるツール

事業構築では、分析と関係性の整理を重ねて、さらに計画を堅牢なものにしていく段階です。特に市場と顧客の分析は入念に行い、事業構築に役立てるとよいでしょう。戦略に根拠があれば、事業が売りたい顧客により適切に届くようになります。

ツール

用途

効果

4C分析

4要素から事業の分析を行う

事業によって顧客が得られるメリットを知れる

6W3H

5W1H+顧客・商品数・価格を足して深く顧客を考察する

顧客像をより明確にすることで深い発想を助ける

AIDMA   

顧客が購入する際の心理を分析する

心理を知ることで効果的なアプローチを考案できる

AISAS

AIDMA+オンライン購入した場合を分析する

オンラインの場合での顧客の心理を参考にできる

マンダラート

目標設定をして関係性を確認

目標達成までに必要なことが明確になる

ファイブフォース

市場の収益システムや需要を分析する

市場を知ることで適切な方針を決められる

マーケティングの4P

事業の戦略課題を再確認する

現段階を踏まえて戦略を立てられる

ビジネスモデルキャンバス

事業を構成する要素を視覚化して確認する

事業の特徴と課題点を客観的に認知できる

アンゾフの成長マトリクス

事業の成長戦略を構築する

今後の市場での売り方を検討するヒントを得られる


まとめ

事業の立ち上げに大事なのは計画を綿密なものにすることです。そのためにはプロセスをしっかり踏んで、事業を構築していく必要があります。ご紹介したプロセスを参考に、まずはファクト収集を始めてみてください。

さまざまなポイントを意識して柔軟にアイデアを出し、市場と顧客を的確に把握することで、新規事業のクオリティアップが狙えます。それと同時に長期的に事業を見て、必要なこともしっかりと分析しておくようにしましょう。

その際にはご紹介したツールを活用するのもおすすめです。ぜひ新規事業の開発にお役立てください。


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