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事務所移転で必要な手続きとは?ミスなく進めるポイントも紹介

事務所移転にはさまざまな手続きが必要ですが、事前に把握しておけばスムーズに移転することが可能です。この記事では事務所移転に必要な手続き・届出を解説します。補助金の手続きやミスなく手続きを進めるポイントも取り上げるので、参考にしてください。

事務所移転の手続きがわからないと困っていませんか?手続きによっては期日が定められており、守らないと移転作業や業務に影響が出てしまいます。そのため、本格的に事務所移転を進める前に、手続きの内容を把握しておくことが大切です。

この記事では、事務所移転前後に必要な手続き・届出を14個取り上げます。さらに、補助金・助成金で必要な手続きやミスなくスムーズに手続きを進められるポイントも解説します。

事務所移転を検討している方や事務所移転に失敗したくない方は、ぜひ本記事を参考にしてください。


事務所移転の全体の流れ

事務所を移転するときの一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 移転方針・全体スケジュールの決定

  2. 現事務所の解約手続き

  3. 新事務所の物件探し

  4. 新事務所のレイアウト考案

  5. 什器の選定

  6. 各業者の手配

  7. 引っ越し

  8. 原状回復工事

  9. 移転に関する届出

この流れで半年から1年間ほどかけて移転作業を進めます。


事務所移転前に必要な7つの手続き

事務所を移転する前には、以下の手続きが必要です。

  • 賃貸オフィスなら解約予告

  • 移転先の事務所の賃貸契約

  • 各種ライフラインの変更

  • 原状回復の工事を依頼

  • 引っ越し業者への依頼

  • 郵便局で住所変更・転送

  • 事務所移転を取引先へ連絡


それぞれ順に見ていきましょう。


賃貸オフィスなら解約予告

賃貸事務所では、オーナーや管理会社へ解約予告しましょう。解約予告は退去する6ヶ月前程度におこなうのが一般的です。

実際の期間は賃貸契約書に記載されているため、事前に確認しておくことが重要です。

また、契約期間満了前に解約すると違約金が発生する可能性もあるので、違約金の条件・金額も確認しておきましょう。

解約予告期間は、オーナーと交渉することで変更できるケースもありますが、民法にもとづき撤回は原則できないため注意してください。    


移転先の事務所の賃貸契約

移転先が賃貸の場合は、新事務所と賃貸契約を結びます。

賃貸契約を結ぶ前には、不動産会社による重要事項説明書に沿った物件の説明を受けましょう。物件を借りて後悔しないために、不明点があれば質問するようにしてください。

重要事項説明を受けて契約が完了したあとは、敷金や礼金、不動産会社への仲介手数料を支払います。仲介手数料の目安は賃料の1ヵ月分程度で、賃料が高いほど仲介手数料も高くなります。


各種ライフラインの変更

事務所のライフラインの変更も必要な手続きです。おもなライフラインは以下の5つです。

  • 電気

  • ガス

  • 水道

  • インターネット

  • 電話回線

ライフラインを切り替える際は、立会いが必要な場合もあります。また工事が必要なインターネットの回線は、乗り換えで1ヵ月程度かかる可能性もあるため、スムーズに切り替えられるように余裕を持って手続きを進めましょう。

原状回復の工事を依頼

これまで利用していた事務所の原状回復工事も、移転前に手続きしましょう。もとの状態に戻す原状回復は法律で定められた義務のため、必ず工事を手配してください。

工事は、契約終了日までに完了するように手配することが一般的です。原状回復工事の内容やタイミングの詳細は契約書に記載されているので、依頼する前に確認しておきましょう。

また、工事は30坪程度で1〜2週間、100坪以上で1ヵ月程度かかります。工事費用は広さなどによって異なりますが、10〜50坪の事務所は1坪あたり3〜5万円、大規模な事務所は坪単価5〜10万円が相場です。


引っ越し業者への依頼

移転のスケジュールや新事務所が決まった段階で、引っ越し業者に依頼しましょう。引っ越し業者を決めるときは、どこまでサポートしてもらいたいかを基準に選定することがおすすめです。

業者によって荷物の移送のみ、もしくは移転をトータルでサポートしてくれるなどサービス内容が異なります。

ただしサポート内容だけではなく、費用やオフィス移転の実績などをチェックすることも重要です。1社だけではなく複数の業者に見積もりを依頼して比較すれば、自社に最適な引っ越し業者を見つけられます。


郵便局で住所変更・転送

事務所を移転するときは、郵便局で転居の手続きをしましょう。転居届の提出によって、以前の事務所あての郵便物などを1年間無料で転送してくれます。

手続きは、最寄りの郵便局の窓口やインターネットからおこなえます。ただし、反映されるまでには3〜7営業日かかるため、それを見越して手続きしてください。

なお、手続きに必要な書類は、転居届と社員証・健康保険証など会社との関係がわかるものです。


事務所移転を取引先へ連絡

移転の日程が確定したら、取引先に事務所を移転する旨の連絡をおこないましょう。取引先をリストアップし、メールなどで移転先事務所の住所を報告します。新しい住所だけではなく、電話番号やFAX番号を変更する場合は、あわせて伝えましょう。

また、自社のホームページやSNSがある場合は、そちらでも事務所移転の告知が必要です。書類や封筒、名刺などの住所も新しい事務所に変更しましょう。


事務所移転後に必要な7つの手続き

事務所を移転したあとは、以下の手続きが必要です。

  • 防火対象物使用開始届出書・防火対象物工事等計画届出書

  • 異動届出書

  • 自動車保管場所証明申請書・安全運転管理者変更届

  • 適用事業所所在地・名称変更届

  • 労働保険名称・所在地変更届

  • 本店・支店移転登記申請書

  • 金融機関の口座や各種カードの住所変更


防火対象物使用開始届出書・防火対象物工事等計画届出書

移転先の管轄消防署に、以下の2つの書類を提出します。

  • 防火対象物使用開始届出書:事務所使用開始の7日前

  • 防火対象物工事等計画届出書:内装工事着工日の7日前


防火対象物工事等計画届出書は、内装工事をおこなう場合に提出する書類です。防火対象物使用開始届出書は、内装工事がなくても申請する必要があります。

ただし、どちらの申請も内装業者がおこなってくれるケースが多いので、不明点があれば確認しておきましょう。


異動届出書

事務所を移転したときは、税務署に異動届出書を提出します。異動届出書の提出は、法人税の取り扱いに関係する手続きです。

移転前と移転後の住所を管轄する税務署に、それぞれ提出しましょう。窓口での提出では法人登記簿謄本や登記事項証明書、定款などの写しが必要です。e-Taxであれば添付書類は不要なので、スムーズに申請できます。

なお、異動届出書に明確な提出期限は定められていないものの、移転後はできるだけ早く提出しましょう。


自動車保管場所証明申請書・安全運転管理者変更届

会社で車庫証明に登録している自動車がある場合は、管轄の警察署に自動車保管場所証明申請書を提出します。

提出期限は決まっていませんが、車庫証明がない場合は自動車を保有できないため、できるだけ早く提出するのが賢明です。

安全運転管理者変更届は、ナンバープレートも変える場合に必要な書類です。社用車がある場合は、事前に確認しておきましょう。


適用事業所所在地・名称変更届

会社で加入している健康保険や年金を正常に扱えるように、年金事務所に適用事業所所在地・名称変更届も提出します。移転後5日以内に手続きする必要があるため、忘れないようにしましょう。

必要な書類は、法人登記簿謄本や建物の賃貸借契約書の写しなどです。窓口以外にも、電子申請や郵送でも手続きすることが可能です。


労働保険名称・所在地変更届

事務所を移転したあとは、事務所の住所を管轄する労働基準監督署やハローワークに労働保険名称・所在地変更届を提出します。

ただし提出先は事業の種類によって異なるため注意しましょう。労災保険と雇用保険の保険料の申告や納付をまとめて取り扱う一元適用事業は、労働基準監督署で手続きしてください。

労災保険と雇用保険を別々に取り扱っている二元適用事業では、労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワークで手続きしましょう。

なお、提出期限は移転後10日以内です。


本店・支店移転登記申請書

法務局には、本店・支店移転登記申請書を提出します。本店は移転から2週間以内、支店は3週間以内に手続きしましょう。

かかる費用は、管轄する法務局が変わると3万円から6万円に上がります。手続きに必要な書類は以下の4つです。

  • 登記簿謄本

  • 定款

  • 印鑑証明書

  • 株主総会議事録・取締役会議事録


金融機関の口座や各種カードの住所変更

事務所移転後は、銀行口座やクレジットカードの住所変更手続きも必要です。口座の住所変更には、通帳・届出印・来店者の本人確認書類などが必要ですが、金融機関によって異なるため事前に確認しておきましょう。

また、法人で契約しているクレジットカードの住所変更手続きは、カード会社ごとに違うので直接問い合わせてください。


補助金・助成金で必要な手続き

事務所を移転する際に、条件が合えば補助金・助成金を申請することが可能です。ここでは、ものづくり補助金とIT導入補助金、事業再構築補助金の手続きを解説します。


ものづくり補助金の場合

ものづくり補助金は、中小企業などの設備投資を支援する補助金です。革新的サービスの開発や試作品開発、生産プロセスの改善などを対象としています。

手続きは専用の電子申請システムからおこないますが、GビズIDプライムアカウントの作成が必要です。アカウントを取得するまでに2〜3週間かかるため、ものづくり補助金を利用したい場合は早めに準備しましょう。


IT導入補助金の場合

IT導入補助金は、ITツールを導入する際に経費を補助してくれる制度です。補助事業を実施するITベンダー・サービス事業者と、中小企業・小規模事業者によって手続きの方法が異なります。


ITベンダー・サービス事業者の手続き方法は、以下のとおりです。

  1. 事業者の登録申請

  2. ITツールの登録申請

  3. 中小企業・小規模事業者にITツールの提案

  4. 交付申請

  5. ITツールの納入

  6. アフターフォロー


中小企業や小規模事業者は以下の流れで手続きしましょう。

  1. 支援事業者とITツールの選定

  2. gBizIDプライムアカウントを取得

  3. SECURITY ACTIONの宣言

  4. 交付申請

  5. 補助事業の実施

  6. 補助金交付手続き

  7. 事業実施効果報告


事業再構築補助金の場合

事業再構築補助金は、事業再構築に挑戦したい中小企業を支援する制度です。申請要件には、売上減少や認定経営革新等支援機関と協力した事業計画の策定などがあります。

ものづくり補助金と同じように、事業再構築補助金はGビズIDプライムアカウントを作成して申請します。なお、交付の申請後には実績や事業化状況の報告も必要です。


事務所移転手続きをミスなく進めるポイント

事務所移転をスムーズに進めるためには、以下のポイントをおさえておきましょう。

  • 事前にチェックリストを作成

  • スケジュールに余裕

  • 事務所移転の専門業者のサポートを受ける


以下でポイントを詳しく解説します。

事前にチェックリストを作成

事務所移転手続きをスムーズに進めるためには、やるべきことを整理してチェックリストを設けることが重要です。

事務所移転に必要な手続きは多く、並行して進めるものもあるため、整理されていないと手続きを忘れてしまう可能性があります。

どれをどこまでやっているのかチェックシートに記入し、ひとつずつ確認しながら進めるとミスを防げるでしょう。


スケジュールに余裕

事務所移転手続きのスケジュールは、余裕を持って組むとミスをなくせます。

移転の作業中も通常業務はあるため、スケジュールに余裕がないと確認作業に十分な時間が取れず、ミスをしやすくなってしまうでしょう。

しっかりとスケジュールを組むことで従業員も動きやすくなり、トラブルが起きても適切に対処しやすくなります。


事務所移転の専門業者のサポートを受ける

事務所移転をサポートする専門業者に依頼すれば、ミスなくスムーズに移転することが可能です。

移転作業をワンストップで対応してくれる業者であれば、自社でやることはほとんどないため労力がかかりません。

ただし専門業者を選ぶ際は、実績やサービス内容、費用を確認しましょう。事務所移転の実績が豊富にある業者を選べば、すべての作業を安心して任せられます。業者によっては、コストマネジメントによって無駄な費用を削減することも期待できます。


事務所移転の際によくある疑問

最後に事務所移転でよくある質問と回答をご紹介します。


  • 事務所移転の注意点は?

  • 事務所移転にはいくら費用がかかるか

  • 事務所の移転先はどこがよいか?


事務所移転の注意点は?

事務所移転の手続きの書類で、提出期限が定められているものに注意しましょう。

特に公的機関に提出する書類は、移転後〇日と期限が決まっているものが多いため、チェックリストを作成して漏れなく手続きしてください。

また、事務所の解約通知や電話・インターネットの契約手続きでも、ミスが起きてしまうと移転作業や業務に支障が出てしまう可能性もあります。

移転作業をはじめる前に、手続き関連のスケジュールを確認してから取りかかるとミスを減らせるでしょう。


事務所移転にはいくら費用がかかるか

事務所の移転費用は、1坪あたり40万円が目安です。ただし実際にかかる費用は、事務所の現状や移転先などで大きく変わります。規模によっては数百万〜数千万円かかることも珍しくありません。

業者ごとに費用やサービス内容が異なるため、事務所の移転費用をできるだけ抑えたいなら、複数社で見積りを取り業者を比較して選ぶことが大切です。求めるサービスで費用がより適切な業者を探すことが叶います。


事務所の移転先はどこがよいか?

事務所の移転先を選ぶときは、なにを重視するかで大きく変わります。以下の基準や目的で移転先を選ぶとよいでしょう。

  • 交通の便が良いなどの利便性

  • イメージアップを図るブランディング

  • 従業員のワークライフバランス重視

  • 活気のある再開発エリア など


また事務所の移転先は、サービスオフィスも候補に含めておくとコストカットを狙いやすいです。

サービスオフィスは、受付機能や会議室などの共用スペースなどが設置されているオフィスのことです。内装にかける費用を抑えられ、保証金も低めに設定されています。

サービスオフィスを探したいときは、一度にさまざまなサービスオフィスを比較検討できるサービスオフィス.JPがおすすめです。

サービスオフィス.JPで探したオフィスを契約するときも仲介手数料がかからないため、移転コストの削減が叶います。興味がある人はオフィス探しにぜひ役立ててみてください。


まとめ

事務所移転に必要な手続きはたくさんあります。手続きによっては書類の提出期限があるため注意しましょう。事前に提出書類を把握し、漏れなく申請するようにしてください。

また、通常業務と並行して事務所移転手続きをおこなうため、手続きミスを招く懸念があります。ミスなく進めるためには、チェックリストを作成するだけでなくスケジュールに余裕を持つことも重要です。

手続きに不安が多い場合は移転の専門業者に依頼することも検討してみてください。


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