事務所移転を検討していて、移転費用はどのくらいかかるのか気になっていませんか。本記事では、事務所移転費用の相場やおすすめの節約方法、事務所を移転する際の注意点などを解説します。移転を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
事務所を移転する際は、新しい事務所との契約費用や引越し費用、工事費用以外にもさまざまな費用がかかります。
場合によっては移転費用が数千万円を超えるケースも珍しくないため、コストを削減したいと考えている人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、事務所移転費用の目安と内訳のほか、節約する方法を詳しく解説します。また、事務所移転の注意点も取り上げるので、移転を検討している人は本記事を参考にしてコスト削減を目指しましょう。
事務所移転費用の相場は、1坪あたり40万円程度といわれています。ただし、この費用はあくまでも相場であり、実際の移転が相場通りに収まる保証はありません。
事務所の広さや契約内容、従業員数、内装工事の有無などによって費用は変動します。
場合によっては移転費用が数千万円以上になるケースもあるため、できるだけ費用を抑えたい場合は、移転費用の内訳を把握しておくことが大切です。
事務所移転には、以下の費用がかかります。
オフィスの原状回復
移転先事務所の契約
移転先事務所の工事
移転に伴う備品や家具の購入
移転先事務所への引っ越し
事務所移転の各種手続き
ここでは各項目の費用目安をご紹介します。
オフィスの原状回復費用は、1坪あたり3〜10万円程度です。原状回復とは今の事務所を元の状態に戻す工事のことで、基本的には借主が費用を負担します。
坪数の大きい事務所や大がかりな造作をしている場合には、相場よりも高額になる傾向にあります。
また、原状回復を担当する業者はオフィスの管理会社が指定しているケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
移転先の事務所と契約する際には、以下の費用がかかります。
敷金:家賃3~12ヵ月分
礼金:家賃1~3ヵ月分
保険会社加入料:家賃1ヵ月分
火災保険料:2年契約で2~3万円
仲介手数料:家賃1ヵ月分
敷金は退去時に全額が返還されますが、原状回復などに充当されることもあります。一方、礼金は戻ってくる費用ではないものの、大型ビルの場合は支払いがないケースも珍しくありません。
また、貸主側の意向で保証会社への加入を求められるときがあります。火災保険料は、賃貸契約では加入が必須です。
仲介手数料は不動産仲介業者に支払う費用ですが、業者によっては無料にしているところもあります。
移転先の事務所では、内装工事費用に1坪あたり25〜40万円、設備工事費用に1坪あたり5〜15万円かかります。
内装や設備にこだわるほど大がかりな工事となるため、それぞれの費用は高額になるでしょう。
また、どちらの工事も一貫して対応している業者もあれば、どちらかにしか対応していない業者もあります。
事務所に必要な備品や家具などの購入費は、従業員1人あたり5〜30万円が相場です。従業員の増加にともない移転するときには、備品や家具を購入する必要があります。
ただし、旧事務所で使っていたものをそのまま使用すれば、備品や家具の購入費用は抑えられます。
新しい事務所への移転費用には、従業員1人あたり2〜5万円の引越し費用がかかります。引越し費用は、作業状況や量だけではなく時期によっても変動します。
ほかにも、不用品の廃棄費用が必要です。2トン車1台で7〜8万円、4トン車1台で12〜15万円程度が相場です。
また、精密機器などの特殊な処理が必要な廃棄物に関しては、追加で料金が発生するケースもあります。
事務所を移転する場合は、以下の公的機関に住所変更などの届出が必要です。
消防署
郵便局
税務署
警察署
年金事務所
労働基準監督署・ハローワーク
法務局
司法書士へ依頼した場合は、別途10〜20万円程度かかります。
事務所移転費用を節約するためには、以下の6つの方法がおすすめです。
事務所移転を専門業者へ依頼
まだ使える備品の再利用
賃貸オフィスならオーナーと交渉
補助金・助成金を申請
事務所の規模を縮小して移転
内装工事費用を節約できる事務所へ移転
移転費用を抑えたい場合は、ぜひ参考にしてください。
事務所移転費用を節約するおすすめの方法は、移転の専門業者に依頼することです。専門業者に任せれば事務所移転をスムーズに進められ、人的コスト削減につながります。
専門業者を選定するときのポイントは以下のとおりです。
事務所移転業者の実績を確認する
サービスの内容は範囲をチェックする
アフターフォローの充実度を確認する
事務所移転の実績や経験が豊富にあれば、移転をスムーズに進められます。また、移転をすべて任せられる業者であれば、移転作業の負担を減らせるでしょう。
さらにアフターフォローの充実した業者なら、移転後のトラブルに対応してくれるので安心です。
なお、依頼先は複数社に見積もりを出して、費用やサポート内容を総合的に比較しましょう。節約したいばかりに費用面だけを確認すると、サポート力が高くない可能性もあるため、注意が必要です。
備品や家具を再利用するのもおすすめの節約方法です。事務所移転のタイミングで備品や家具を新調することは多いですが、使えるものをそのまま使用すれば廃棄費用を節約できます。
買い替えたい場合は、新品よりも低価格になっているレンタルや中古の購入も検討しましょう。どうしても新品を購入したい場合は、今使っている備品を中古買取業者に売却して、予算を増やす方法もあります。
賃貸オフィスに移転する場合は、貸主にフリーレントにできないか交渉してみましょう。
フリーレントは、一定期間で賃料が無料になるサービスです。貸主は、物件に入居者がいないと収入を得られないため、フリーレントにして入居者を集められるメリットがあります。
なお、貸主にフリーレントを交渉するのは6〜8月頃がおすすめです。6〜8月は不動産の閑散期になっているため、交渉を成功させやすいでしょう。
事務所の移転によって補助金や助成金を活用できる場合もあります。おもな補助金・助成金は以下のとおりです。
補助金・助成金 | 制度の概要 | 補助率・支給額の上限 |
ものづくり補助金 | 経営革新のために使える設備投資 | 補助率1/2または2/3、補助上限額750万~5,000万円 |
IT導入補助金 | ITツールの導入に利用できる | 補助率1/2、補助上限額450万円 |
小規模事業者持続化補助金 | 小規模事業者の販路開拓や業務効率化に適用できる | 補助率2/3、補助上限額50万~200万円 |
創業助成金(東京都) | TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援修了者などに適用される | 補助率2/3、補助上限額300万円 |
ほかにも、自治体ごとに事務所移転をサポートする制度があります。事務所を移転する前に、適用できる補助金・助成金がないか確認しておきましょう。
移転先の事務所規模を縮小するのも節約方法です。縮小によって、契約費用や内装工事費用などのコスト削減につながります。例えば家賃が安くなるとランニングコストを減らせるだけでなく、新しい家具・備品を購入する必要がなくなるためコスト削減につながるでしょう。
もし事務所の規模を縮小させるなら、書類のペーパーレス化やフリーアドレスのレイアウトの導入がおすすめです。
ペーパーレス化すれば、書類の保管場所を設置しなくて済みます。またフリーアドレス制を導入することで座席の数を減らせるため、事務所スペースを削減できるでしょう。
内装工事費のかからない事務所への移転も節約方法として知られています。
例えば内装設備や家具を引き継いでいる居抜きオフィスであれば、ゼロから内装工事をするよりも節約することが可能です。
ほかにも、複数の企業が共有して利用するシェアオフィスや、個室タイプのレンタルオフィス、事務サポートなどが強みのサービスオフィスがあります。これらの外部オフィスに移転すれば内装工事は必要ありません。
特にサービスオフィスには、会議室などの共用スペースがすでに設置されているため、内装コストを抑えられます。また、受付機能や個室などがあるため、会社のセキュリティ面でも安心です。
サービスオフィスを探すときは、サービスオフィス.JPをぜひご利用ください。サービスオフィス.JPは、一度に複数のサービスオフィスを比較検討できるサイトです。契約時には仲介手数料もかからないため、移転費用の節約にもつながります。
事務所を移転する際は、以下の点に注意しましょう。
かかる費用の勘定科目は経理と相談する
移転のスケジュールに余裕を持つ
移転先は目的を決めて厳選が必要
入居審査に通る保証はない
事務所のレイアウトは働きやすさを意識
事務所移転にかかる費用ごとに、勘定科目が異なるので注意が必要です。費用ごとの勘定科目は以下の表を参考にしてください。
事務所移転費用 | 勘定科目 |
引越し費用 | 雑費 |
仲介手数料 | 支払い手数料 |
保険料 | 損害保険料 |
原状回復 | 修繕費 |
内装工事 | 資産 |
内装工事の場合、資産勘定で処理することが一般的であり、以下の4つにわけられます。
新築の建物は「建物」
設備工事関連は「建物付属設備」
手続きや人件費などは「諸経費」
20万円以上の機器や備品は「備品」
どの費用がどの勘定科目になるのか見極めるためには、経理と相談しながら進めましょう。
事務所移転のスケジュールは余裕を持つことが大切です。事務所移転は、以下のような流れで進めます。
事務所移転の目的を明確にする
新しい事務所を探す
新事務所のコンセプトやレイアウトを決める
内装工事業者と打ち合わせ・施工管理
備品や家具の発注
引越し作業を進める
移転に関する各種届け出を提出する
このほかにも、旧事務所の解約予告や原状回復工事が必要になり、トータルで半年から1年ほどかけて移転するのが目安です。
また、解約予告の期日までに退去する必要があるため、事前にどれくらいの移転期間になるのか調べておきましょう。
事務所を移転する前に、移転する目的を社内で話し合いましょう。移転目的を明確にしてから事務所を厳選しないと、今後の事業に支障が出る可能性があります。
事務所の移転目的の具体例は以下のとおりです。
事務所が手狭になったため、広いオフィスに移転したい
都市部に移転し、企業イメージを向上させたい
営業効率を上げるために、駅近の事務所に移転したい
地方へ移転し、コストを削減を図りたい
複数の目的がある場合は、優先順位をつけて総合的に判断しましょう。
希望に合った事務所を見つけても、入居審査に通る保証はありません。以下のような理由によって審査に落ちる可能性があります。
資本金が少ない
債務超過
開業して間もない
個人の収入や役員報酬が少ない
不透明な業種
期限までに必要書類を未提出
無茶な条件交渉
信用度の低い会社は、審査に通過しづらいと認識しておいてください。審査を通過するためには事前に審査基準を調べるほか、優良な仲介業者を利用するのもおすすめです。
新しい事務所のレイアウトを考えるときは、従業員の働きやすさを意識しましょう。働きやすいレイアウトにしなければ、作業効率が上がらないだけではなく、無駄なスペースも生まれてしまいます。
事務所のレイアウトには以下のような種類があるので、ぜひ参考にしてください。
レイアウトの種類 | メリット | デメリット |
対向型 | チーム内のコミュニケーションが取りやすい | 他チームと連携しづらい |
背面型 | 仕事に集中しやすい | 効率的にスペースを使えない |
フリーアドレス | 他チームとのコミュニケーションが活性化する | 従業員がどの席にいるのか把握できない |
どのタイプにもメリットとデメリットがあります。現状の問題点を正確に把握し、働きやすいレイアウトを決めましょう。
最後に、事務所移転費用でよくある疑問と回答を紹介していきます。
どこまでが原状回復に含まれるか?
敷金は返還されるか
事務所の原状回復は、契約内容によって異なりますが、一般的には壁・床のクリーニング、配線や造作物の撤去が必要です。
賃貸オフィスは居住用の賃貸物件と違い、経年劣化が考慮されないため経年劣化の原状回復も負担する必要があります。
原状回復工事の費用を節約するためには、複数の業者に見積もりを依頼して、費用を比較しましょう。業者が指定されている場合は、その指示に従ってください。
償却金が設定されている場合、契約書に記載されている額だけ返還されます。償却金は、家賃の1〜2ヵ月分や保証金の10%程度で設定されているケースがあります。
敷金の返還でトラブルにならないように、契約前に契約書の内容を必ず確認しておきましょう。
事務所の移転には、1坪あたり40万円程度の費用がかかります。ただし従業員の数や事務所の規模によっては数千万円以上かかる可能性もあり、安い費用とはいえません。
事務所移転費用を抑えるためには、移転専門業者へ依頼したり使える備品は再利用したりするのがおすすめです。該当するのであれば、補助金や助成金もうまく活用しましょう。
また、内装工事費用を節約できる事務所へ移転するのもひとつの手です。例えばサービスオフィスなどは会議室などのスペースがすでにあるため、内装コストがかかりません。
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