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新規オフィスで初期費用がかからない方法とは?維持費の節約もしよう

新規オフィスを構える際の初期費用を抑える方法を紹介します。賃貸オフィス以外にもシェアオフィスやバーチャルオフィスなど選択肢は豊富です。初期費用一覧、費用を抑えるコツのほか活用できる融資や補助金も解説するので、ぜひ参考にしてください。

賃貸オフィスの初期費用は数百万円がかかるため、ビジネスを始めるときの高いハードルとなります。「初期費用を抑える方法はある?」「オフィスを構えること以外の方法は?」など、気になる人もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、賃貸オフィスにかかる初期費用の相場と節約の方法を詳しく紹介します。事業内容や規模によって最善策は異なるため、まずはさまざまな選択肢を見てみましょう。

後半では、活用できる融資の方法や補助金、助成金なども紹介するので、ぜひ参考にしてください。


賃貸オフィスにかかる初期費用


賃貸オフィスにかかる初期費用の一覧を表で見てみましょう。

費用の項目

概要

敷金

家賃の1~12カ月分。6カ月分が多い。退去時の原状回復費用や家賃滞納時の担保として使われる。差し引いた金額は退去時に返金される。

礼金

大家に対して支払うお礼のお金。家賃の1~2カ月分が相場。礼金が必要ない物件もある。敷金と違い、返金されない。

前賃料・前共益費

入居月と翌月分の賃料・共益費。

火災保険料

建物と家財が補償される保険の料金。15,000~15万円まで、補償範囲によって異なる。賃貸借契約時に加入を求められることが一般的。

仲介手数料

物件を紹介してくれた不動産会社に支払う手数料。家賃の1カ月分と消費税が上限。

入居工事費用

オフィスの用途に応じた配線工事や内壁の設置など。工事が可能な範囲は物件ごとに異なり、費用も数十万~数百万円まで幅がある。

家具・設備費用

デスク、チェア、コピー機、パソコン、サーバーなどの購入費と設置にかかる費用。

入居工事や家賃・設備費用は工夫次第で抑えられますが、一般的には家賃の10倍が初期費用の目安です。


賃貸オフィスより初期費用がかからない方法

賃貸オフィスの初期費用は家賃の10倍程度の金額がかかるため、そのほかの方法も検討しましょう。代表的な5選を紹介します。


バーチャルオフィス

その名のとおり仮想のオフィスであり、ワークスペースは存在しませんが住所や電話番号を取得できるサービスです。郵便物や電話は転送してもらえ、サービスによっては会議スペースを借りることもできます。

入会金と保証金があれば利用でき、費用相場は月額500~数千円と安価です。1,500円以上のバーチャルオフィスであれば、登記先住所としても利用可能な場合があります。


バーチャルオフィスがおすすめのケース

まずはバーチャルオフィスのメリット・デメリットを見てみましょう。

メリット

デメリット

・会社用の住所と電話番号を取得できる

・初期費用、維持費ともに安価

・短期間で利用開始できる

・社員が集まれる場所がない

・運営会社が撤退した場合は住所と電話番号を失う

・独立した事務所が必要な業種では利用できない(不動産、建設、士業など)


メリット、デメリットを比較したときのおすすめのケースは次のとおりです。

  • 自宅の住所、電話番号を公開したくない場合

  • テレワーク中心の働き方の場合

  • 経営が軌道にのるまで利用したい場合


レンタルオフィス

レンタルオフィスは、1つのテナント内を仕切った区画を部屋として借りられるサービスです。郵便物の受け取りや電話の常設が可能かどうかはサービスによって異なります。

インターネット回線や家具など、オフィスとしての設備は整備されていることが多く、敷金や礼金の支払いがないため初期費用を抑えられることが魅力です。ただし、月々の家賃としては賃貸オフィスより高額な傾向があるので注意しましょう。


レンタルオフィスがおすすめのケース

メリット

デメリット

・初期費用を抑えられる

・ワークスペースを確保できる

・従業員が集まる場として使える

・半個室タイプの場合、他社の音が気になる

・完全個室タイプは料金が高め

・月々の家賃として考えると割高


メリット、デメリットを比較したときのおすすめのケースは次のとおりです。

  • 従業員のワークスペースが欲しい場合

  • 初期費用だけ抑えたい場合

  • 他社との合同事業などで使用したい場合


シェアオフィス

シェアオフィスは、企業や個人がオフィス空間や設備をシェアできるサービスです。レンタルオフィスやコワーキングスペースを含めてシェアオフィスと呼ぶこともありますが、レンタルオフィスのような仕切りがないフリーアドレス制が大半です。

また、作業目的の利用が多いコワーキングスペースとは違い、会議室や住所、受付窓口、電話代行などを利用できるサービスが多く見られます。なお、賃料相場は都内でも20,000円~と安価です。


シェアオフィスがおすすめのケース

メリット

デメリット

・初期費用、賃料を抑えられる

・ワークスペースを確保できる

・入居者(他社)同士のコミュニケーションを取りやすい

・好立地が多い

・時間貸しなど契約の種類に幅がある

・仕切りがないため機密性が高い情報を扱う仕事では利用しにくい

・資料や自社専用の備品をデスクなどに置いておくことはできない


メリット、デメリットを比較したときのおすすめのケースは次のとおりです。

  • 従業員のワークスペースや会議室が欲しい場合

  • 他社との交流の機会が欲しい場合

  • 週に数日または数時間など限定的に利用したい場合


コワーキングスペース

コワーキングスペースは、カフェなどで仕事をする感覚に近いフリーアドレス制のサービスです。オープンな空間で好きな場所を選べるタイプや、デスクごとに簡易な仕切りが設けられているタイプなどがあります。

個人の利用が多いサービスで、1人あたりの月額利用料は5,000~30,000円前後と安価です。


コワーキングスペースがおすすめのケース

メリット

デメリット

・初期費用、賃料を抑えられる

・ワークスペースを確保できる

・テレワークの従業員の作業場として使える

・好立地が多い

・時間貸しなど契約の種類に幅がある

・仕切りがないため機密性が高い情報を扱う仕事では利用しにくい

・資料や自社専用の備品をデスクなどに置いておくことはできない

・1人あたりの単価としては安くないため従業員が多い場合には向かない



メリット、デメリットを比較したときのおすすめのケースは次のとおりです。

  • 自宅と仕事場所を分けたい個人事業主

  • テレワークの従業員の作業場所として提供する場合

  • 家具やオフィス機器の費用を抑えたい場合


サービスオフィス

サービスオフィスは、レンタルオフィス以上の設備やサポートを提供するサービスです。執務用の個室やラウンジ、受付、コンシェルジュ、事務代行、事業サポートなど、サービスによって提供内容は異なります。

また、セキュリティを重視したオフィスが多いことも特徴です。なお、利用料金はサービス内容や区画の広さなどによって差があります。


サービスオフィスがおすすめのケース

メリット

デメリット

・初期費用、賃料を抑えられる

・設備やサポートが充実している

・事務代行を依頼できる場合がある

・事業相談できる場合がある

・入居者同士の交流会が開かれることがある

・セキュリティを重視したオフィスが多い

・月々の家賃として考えると割高

・利用用途・業種が限られる

・会議室は有料オプションの場合がある



メリット、デメリットを比較したときのおすすめのケースは次のとおりです。

  • 事務手続きや事業相談などのサポートを受けたい場合

  • 他社との交流の機会が欲しい場合

  • セキュリティを重視する場合


賃貸オフィス向けの初期費用の節約方法

賃貸オフィスを借りることを選択した場合でも、初期費用を抑える方法はあります。3つの方法を参考にしましょう。


賃料が安い地域から入居先を厳選

インターネットで検索すると、募集賃金を基にした相場を確認できます。東京都23区内でも相場に差があるため、まずは検索してみましょう。

安いエリアを確認できたら、そのエリアに絞って物件を検索することをおすすめします。同じエリア内でも駅からの距離や竣工年、規模、設備内容によって金額は大きく変化するため、相場より安い物件がみつかる可能性があります。

ただし、安い理由を確認することも大切です。周辺と比べて格段に安い場合は、隣人トラブルなどの諸事情がないかどうかを調べましょう。


不動産会社やオフィスのオーナーと交渉

募集賃金はオーナーが「この金額なら即決できる」と考えている金額です。しかし、実際には値下げの余地があるケースが少なくありません。交渉によって値下げが可能であるかを確認しましょう。

家賃は下げられなくても、敷金・礼金の金額を安くできる場合もあります。

また、不動産会社の仲介手数料は家賃の1カ月分と消費税が上限ですが、あくまでも上限であるため交渉次第で安くできる場合があります。不動産会社にも交渉してみましょう。


フリーレントや居抜き物件に入居

まずはフリーレントと居抜き物件のメリット、デメリットを確認しましょう。

物件の種類

メリット

デメリット

フリーレント

一定期間、賃料が無料の物件。
オフィスの場合は入居準備(設備搬入、内装工事など)にかかる期間が無料になることが多い。1~6カ月が一般的。

短期解約違約金が設定されることが多い。定められた期間内で解約すると、フリーレント期間中など数カ月分の金額を請求される。

居抜き物件

前入居者が使用していた家具や什器、設備がそのまま残されている物件。新たに購入する必要がないため初期費用を抑えられる。

レイアウトを変更しにくく、不要なものの処分に費用がかかる。おしゃれな居抜き物件の場合は賃料が高め。


どちらも初期費用は抑えられますが、場合によっては一般的な賃貸オフィスよりも、退去時の費用や維持費が高くなる可能性があります。中長期の計画とマッチするかも考慮して選びましょう。


備品はリースや中古を検討

家具や備品をリースまたは中古品から選択すれば、初期費用は抑えられます。廃棄予定のオフィス家具を無料で引き渡すサービスなどもあるので活用してみましょう。

またリースであれば、オフィスのトータルコーディネートから依頼できる業者もいます。選定にかける時間と手間を省けるため、入居準備をスムーズに進めやすいことがメリットです。

ただし、中古品の場合は家具や什器の減価償却費が少なくなったり、リースの場合は中途解約に違約金が生じたりするなどのデメリットがあります。メリット・デメリットを比較して検討しましょう。


オフィスの初期費用の自社負担を減らす方法

初期費用自体の節約が難しくても、初期の自社負担を減らす方法はあります。2つの方法を見てみましょう。


初期費用の融資

初期費用の負担を減らすために、融資をうけることもひとつの方法です。融資の種類とそれぞれのメリット・デメリットをまとめたので、参考にしてください。

融資の種類

メリット

デメリット

銀行のフリーローン(多目的ローン)

低金利(年利4~5%)

・審査に時間がかかる
・融資目的を示せる書類の準備が必要

カードローン

高金利(年利14~18%)

審査基準が低いため即日も可能

クラウドファンディング

応援目的の募集であれば返済の必要がない

経営者のカリスマ性やまだ世の中にない事業など、突出した特徴がないと資金が集まらない

エンジェル投資家

・富裕な個人投資家に出資してもらえばまとまった資金を得られる

・毎月の返済がない

・エンジェル投資家が株式を取得するため経営に口出しされる可能性がある
・経営決定権に支障が生じる場合がある


補助金・助成金の申請

国や地方自治体が定める補助金、助成金を利用できれば初期費用の負担を抑えられます。具体例を見てみましょう。

補助金・助成金名

管轄

対象・条件

助成額

IT導入補助金

中小機構

・中小企業、小規模事業者

・ITツールの導入にかかる費用の2分の1まで補助

最大450万円

ものづくり補助金

全国中小企業団体中央会

・中小企業、小規模事業者
・設備、システム投資等にかかる費用の2分の1または3分の2まで補助

最大1,250万円(通常枠)

創業助成金

実施している自治体

開業から5年未満など

自治体によって異なる

オフィス移転支援

実施している自治体

県内、市内などへオフィスまたは本社を移転した場合

自治体によって異なる


各自治体の支援内容も詳しく調べましょう。例えば群馬県みなかみ町では、移住および5年以上の事業を継続しておこなう計画の事業者に対し、事業所開設に要する経費の2分の1に加え賃借料の2分の1など、最大100万円の支援を示しています。


オフィス開設・移転前に知っておきたい基本

最後に、オフィスの開設・移転に向けて具体的に行動する前に検討しておきたい基本事項3つを解説します。


オフィスの必要性

そもそもオフィスは必要かどうかを検討しましょう。次のような場合、オフィスは必要ないと判断できる可能性があります。

  • 従業員のいない個人事業主

  • 独立した事務所が必要でない職種(不動産や士業などではない)

  • 従業員がフルリモート勤務で遠方に住んでいる

  • 対面コミュニケーションは年に数回程度で十分

  • 来客がほとんどない


このような場合には、オフィスを構えても出社の必要性がとくにないため、賃料が無駄になってしまうと考えられます。本当に必要かどうか吟味しましょう。

住所や電話番号が欲しいだけであれば、バーチャルオフィスや私書箱、法人契約できるモバイル回線などを利用するのもひとつです。


オフィス開設・移転の流れ

オフィス開設・移転の流れは次のとおりです。

  1. 事業内容、経営課題を考え理想的なオフィスをイメージする

  2. 必要面積と適切な立地の条件をリスト化する

  3. オフィスに必要な家具、機器、備品などをリスト化する

  4. 事業開始前であれば基本事項の決定や必要書類、各種届け出を済ませる

  5. 1~3番までを網羅できるオフィスを探す(検索、不動産会社へ相談)

  6. 賃貸物件のオーナーと契約、入居日を決める

  7. 内装工事等を手配する

  8. 登記申請および法人設立の届け出など各種手続きをおこなう

  9. 内装工事完了後、家具や備品などを搬入、設置する


たとえば、従業員が増えたことで現在のオフィスでは手狭になったため広いオフィスに移転したい、従業員のモチベーションを上げるために好立地に開設したいなど、まずは目的となるイメージが必要です。

そのうえで具体的に必要な項目を洗い出し、予算とのバランスを見て物件を検討しましょう。


オフィス開設・移転の無料相談先

起業、オフィス開設、移転などの相談窓口には次のようなものがあります。

  • 管轄の税務署

  • 商工会・商工会議所

  • 中小企業基盤整備機構

  • よろず支援拠点

  • 日本政策金融国庫

  • 各種自治体のセミナーや相談窓口


なお、不動産会社への物件の相談や家具などの専門業者への見積依頼は無料でおこなえます。複数社に相談し、比較検討することも大切です。


まとめ

従来とは働き方が大きく変わり、オフィスの形式にもさまざまなバリエーションが出てきました。あらためてオフィスの必要性を検討しなおし、目的にかなう要素を備えたオフィスを選択することが大切です。

賃貸オフィスを選択した場合でも初期費用を抑える方法は豊富にあります。中古品やリースの利用、融資や補助金の活用、賃貸オーナーとの家賃交渉などの手段を組み合わせて、予算内で理想に近づける方法を検討しましょう。

判断に迷ったときは、行政や各自治体、商工会などの無料相談窓口を訪ねることもおすすめします。



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