新型コロナウイルスの感染が収まる気配はなく、会社を滞りなく経営するには会社としてオフィスの感染対策はしっかりと実施していかねばいけません。本記事ではオフィスで有効な感染対策を解説します。オフィス内のエリア別の対策方法や、感染対策の具体的なアイテム・サービスについても紹介しますのでぜひ参考にしてください。
新型コロナウイルスが拡大以降、企業のオフィスの在り方は急激に変わりました。会社の大きさに限らず、リモートワークが増えたところも多いでしょう。
しかし会社によっては業務の関係で、オフィスを使用しなければいけないケースも多いですが、今だに新型コロナウイルスの感染が収まる気配はないため、会社を滞りなく経営するには、オフィスの感染対策をしっかり実施することが大切です。
そこで本記事では、オフィスで有効な感染対策を解説します。オフィス内のエリア別の対策方法や、感染対策に使える具体的なアイテム・サービスについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
まずはじめに、オフィスでの感染対策の重要性について整理してみましょう。
まず第一にオフィスに感染対策が必要な理由は、オフィスでコロナ感染者が出たときに、社内で感染が拡大してしまうと業務が停止してしまう恐れがあるためです。
いわゆる社内クラスターが起きてしまうと、数十人単位で社員が働けない状況になることもあり得ます。
感染対策は手間や時間がかかり大変ですが、業務を優先して感染対策を後回しにしてしまうと、業務に支障が出る可能性があるのです。
オフィスの感染対策をおこなうことは、従業員の生命や安全を守るためにも重要です。企業は従業員を雇うにあたり、労働契約法5条を守らなければいけません。
“第五条:使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。”
※引用元:e-Gov法令検索「労働契約法第五条(労働者の安全への配慮)」
この義務はコロナにおいても適用され、もしオフィスの感染対策が不十分だった場合は安全配慮義務違反となってしまいます。
ここでは、オフィスでの具体的な感染対策を紹介します。オフィスで滞りなく業務をおこなうには、以下の6つの対策が有効です。
新型コロナウイルスに感染する原因として、人の接触、咳、くしゃみなどが挙げられます。
そのため、まずは人と人との距離を取り、ソーシャルディスタンスの徹底をすることが有効です。
ソーシャルディスタンスの具体的な方法は、以下のような方法があります。
オフィスの密集を避ける
人との距離を2m以上保つ
デスクの隣/対面席は空席にする
エレベーターの定員人数を半分にする
オフィスの密集を避け、人との接触は最低限にしてやり取りをしたり、出勤日のうち同時間帯にオフィスで仕事をする人数を減らすなども効果的です。
また、オフィスに社員が集まる場合は、対面や真横のような接触したり咳などがかかる距離で従業員に仕事をさせないために、デスクの隣や対面席は空けるようにしましょう。
オフィスに繋がるエントランス、エレベーターなどでは、定員人数を決めると管理しやすいです。人数制限の貼り出しや立つ場所がわかる足元シールなどで、ソーシャルディスタンスを守りやすい環境作りをしましょう。
人との接触が感染につながるということは、接触の原因をなくすことが必要なため、社内のペーパーレス化を進める対策もおすすめです。例えば社内の書類などは人が触るものなので、十分に感染原因になる可能性があります。
特に社内でハンコを押して人から人へ渡されるような書類は感染の危険が高いため、なるべく廃止を検討しましょう。社内で確認が必要になる書類は電子化をし、デジタル上でやり取りをしたり、電子印鑑に切り替えると良いです。
オフィス内のマスクの常時着用も必須の対策です。マスクの感染対策で完全に感染リスクを防ぐことはできませんが、人の飛沫などによる感染リスクをある程度防ぐ効果が期待できます。
特に狭い空間となりやすいオフィスなら、飛沫感染リスクは高くなりやすいため対策を取っていて損はないでしょう。
なお、社員の健康を守る義務、継続的に必要になるという点を鑑みて、マスクを備品とすることも検討してください。社内に用意があれば従業員や来客用など、緊急時に備えることもできます。
密集をしているような空気の悪い空間だと、浮遊しているウイルスが残り続け、感染リスクを上げてしまいます。そのため、空気のこまめな入れ替えも有効です。
環境省が掲げた空間の感染対策としては、1時間ごとに2回以上換気をすることや、1人あたり30m3/hの換気量を確保することです。
例えば窓を開けて頻繁に換気をしたり、空調設備を整えたりしてオフィスに新鮮な空気を取り入れていきましょう。
感染リスクを下げるためにはテレワークやリモートワークを導入することも検討してください。
オフィスの人数を少なくするには、従業員を絞ることが必要です。しかし出勤日を調整したり、時間差で出勤してもらう方法だけだと、業務効率も悪くなってしまいます。
そのため、そういったオフィスの密集を避けた感染対策に加え、テレワークやリモートワークも導入すると効果的です。各従業員が自宅から仕事をできるようになれば、オフィスで感染者が出てしまったときも影響を最低限にできます。
オフィスでの従業員の業務はフリーアドレスを導入することも対策としておすすめします。
オフィスにおけるフリーアドレスとは、従業員のデスクを固定せずに好きなデスクや共有スペース、会議室などで仕事ができるようにするシステムです。
固定された場所で業務をせずに済むため、それぞれ従業員が人との距離を保ちやすくなり、必要に応じて随時好きな場所で仕事がおこなえます。
ここでは、感染予防に役立つ具体的なアイテムを紹介します。
パーテーションはデスクの上や間に設置して、従業員の会話中に起きる飛沫による感染リスクを予防してくれるアイテムです。くしゃみ・咳などもある程度、防いでくれます。
なお、パーテーションの高さはデスク上に設置するなら、座ったときに目の位置に来る高さがよいとされます。具体的には座ったデスクの机から60㎝、立った相手とのやり取りをする場所なら80㎝がおすすめです。
また、アクリル板などの透明なパーテーションなら従業員間のコミュニケーションも取りやすく、感染予防がおこなえます。
手指の衛生管理としてアルコール消毒液も欠かせないアイテムです。
手指の清潔さを保つことで接触感染を予防することが可能です。オフィスの出入口やお手洗い、共有スペースなどに設置して従業員にこまめに使用することを推奨しましょう。
また、使用するアルコール消毒液の中身はエタノール(消毒用)を選んでください。濃度が高すぎても低すぎてもウイルスをうまく予防できなくなるため、70~80%の濃度がおすすめです。
コロナを含めた感染症は症状として熱があるため、オフィスに通勤してくる従業員の健康管理として非接触型温度計の導入もおすすめです。
出勤時などに体温を測ることを定めることで、隠れた熱がないか働きはじめる前に調べることができます。
熱が一定以上高ければ、出勤を止める・早退してもらうことで感染拡大を予防できます。もし従業員がオフィスに出勤してから体調が悪くなったときも使用できるでしょう
また、非接触型なら体温計を触らずに済むため、接触感染リスクを避けられます。ただ非接触型は測れるのは表面温度で、正確性に劣るため、熱がある疑いがあるケースに備えて普通の温度計も用意しておくとよいでしょう。
もし従業員の出退勤を紙製のタイムレコーダーで管理しているなら、顔認証対応タイムレコーダーを導入することをおすすめします。
紙製タイムレコーダーは管理する機械に大勢が手を触れることになるため、接触感染のリスクが高いです。
しかし、顔認証対応タイムレコーダーにすることで接触感染を予防をしつつ、タイムレコーダー待ちで人が密集しなくなるためリスクを下げられます。
じつは長期的な消費物となると、アルコール消毒液はかかる費用が高めです。そこでおすすめなのが次亜塩素酸水です。アルコール消毒液だと1リットルあたり1,000円程度ですが、次亜塩素酸水は1リットルあたり1円です。
そのため、大幅な経費削減が可能ですが、次亜塩素酸水は希釈に手間がかかるため、生成装置の導入がおすすめです。
感染予防アイテムで日々の感染対策をしたら、定期的に以下のようなオフィスの感染予防に有効なサービスの利用も検討しましょう。
オフィスクリーニング
抗菌コーティング
プロの清掃業者に定期的に清掃をおこなってもらうオフィスクリーニングは、普段手の行き届かない箇所も入念に清掃してもらえるのがメリットです。
例えば複数人が触るドアノブ、スイッチ、自動販売機、デスク、機材などは、どうしても接触するために感染リスクがあります。
しかし、オフィスクリーニングを頼むことで、そういった共有の物や複数人が触るものを除菌・清掃してもらえます。
オフィスのあらゆる場所からウイルスを完全に無くすことはできませんが、プロによる徹底した清掃で感染予防をすることが可能です。
また、オフィスクリーニングを定期的に依頼していれば、従業員の心配材料を減らしてあげられます。見た目にも清潔な社内になれば、顧客や従業員からの信頼も高まるでしょう。
ウイルス・菌などが繫殖しにくい環境作りとして、抗菌コーティングのサービスもおすすめです。
オフィスにおける抗菌コーティングとは、例えば前述したドアノブやスイッチ、機材などに特別な抗菌作用のあるコーティングをかけるサービスです。
備品だけではなく、オフィス全体にかけられるサービスもあります。
また、あわせて空間の除菌なども可能です。コーティングをかけることでウイルスが繫殖しにくくなり、その共用部での接触感染リスクを下げてくれます。
ここでは、オフィスにつながるエリア別の感染予防対策を詳しく解説します。
紹介するのは、オフィスでよくある以下の3エリアです。
工場
社員食堂
休憩スペース
これらの別エリアがある会社なら、そちらでもきちんと感染対策をおこなう必要があるでしょう。以下で各エリアの感染予防対策のポイントを解説します。
工場などでは以下の感染予防対策がおすすめです。
感染予防対策 | 効果 |
検温の徹底 | 義務づけることで疑いがある人を休ませて予防できる |
朝礼・点呼の小規模化 | 一ヵ所に人が集まらないようにして予防 |
更衣室の人数制限/使用禁止 | 人の密集を避けて予防できる |
工程で人員を分けてグループ化 | 人の行き来や接触を制限して予防できる |
定期的な設備消毒 | ドアノブ、レバーなどの共用部の接触感染を予防 |
外部流入を減らす | 来客などを減らして外からの持ち込みリスクを予防 |
工場で感染を拡大させないためには、とにかく人の密集を減らし接触感染リスクを少なくすることが重要です。
人が集まりやすい朝礼や点呼、更衣室などでは人数を減らしたり、交代制にすることで対策をしていきましょう。
また、工場の工程ごとに人員を分けると接触する人をグループごとに絞れるため、もし感染者が出た場合も工場全体に拡大する可能性を減らせますし、接触者の管理もしやすいです。
また、工場における共用部のドアノブやレバー、機材などの定期消毒を徹底したり、来客を最低限とすることでウイルスの持ち込みリスクを低減できるでしょう。
次にオフィスに社員食堂があるケースでの感染予防対策をご紹介します。
感染予防対策 | 効果 |
入口での検温 | 感染疑いがある人を入店させず予防する |
入店者のアルコール消毒・手洗いの徹底 | 接触感染リスクを予防する |
食堂内の人数制限の実施 | 人の密集を避けて予防する |
座席を間引く | 利用者が接する感染リスクを予防 |
座席間にパーテーションを設置 | 飛沫感染リスクを予防 |
キャッシュレスレジの導入 | 現金による接触感染を予防 |
非対面の注文システム導入 | 利用者と提供者との接触感染リスクを予防 |
呼び出しシステムで並ばせない | 人の密集を避けて予防する |
提供カウンターに仕切り | 利用者と提供者の接触感染を予防する |
黙食を推進する | 利用者同士の感染リスクを低減する |
社員食堂での感染対策のポイントは、なるべく人の密集を避けて、人同士の接触も最低限のシステムを作ることです。
人数を制限することはもちろん、混み合う注文・レジ・提供カウンターも最低限の接触とし、リスクを減らしていきましょう。
また、利用者間で感染してしまわないよう、食堂内でも席は隣り合わせにしないようにしたり、パーテーションを置くことで飛沫感染などを防げます。加えて黙食を推進することで、利用者にも感染予防対策に勤めてもらえると安心です。
多数の従業員が使う休憩スペースでの感染予防対策は、以下のとおりです。
感染予防対策 | 効果 |
入退室時の手洗い徹底 | 利用者の接触感染リスクを低減 |
スペース内の人数制限 | 密集による感染を予防 |
休憩時間の分散 | 〃 |
テーブル・イスなどの定期的な消毒 | ウイルスの付着・接触感染を防ぐ |
利用者間のソーシャルディスタンス徹底 | 利用者同士の接触感染を防ぐ |
休憩スペースでも、人が密集しないことが大事です。従来の休憩スペースというと複数人で会話を交わすことがあたり前でしたが、接触感染を防ぐためには、それぞれで休憩を取ってもらうようにする方が安心です。
また、利用者が多いという観点からも、人数制限や共用部の消毒なども徹底しましょう。
新型コロナウイルスは完全になくなることはなく、今後もうまく付き合っていく必要があります。
会社としても業務を滞りなく進めるためはもちろんですが、従業員の健康を守るためにもオフィスの感染対策にしっかりと取り組んでいきましょう。
感染は換気、密集、密室などが揃うと特にクラスターなどが起きやすいです。条件が揃わないよう注意して、本記事でご紹介してきた予防対策などで社内の感染リスクを低減させていきましょう。
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